A Healthy Jobs Report Leaves Republicans Scrambling and Biden Smiling
雇用統計の数値が強かったのでバイデンはニッコリ!一方、共和党はちょっとだけ対応に苦慮!
After creating 1.1 million jobs since May, the economy has now recovered all the jobs lost to the pandemic.
5 月以降110 万人の雇用が創出されました。新型コロナで失われたすべての雇用が取り戻された計算になります。
By John Cassidy September 2, 2022
5週間前、商務省が第2四半期のインフレ調整後のGDPが前期比年率マイナス0.9%となったと発表しました。共和党のケビン・マッカーシー下院院内総務は、「今朝、すべてのアメリカ人がほぼ1年間感じてきたことが発表されました。アメリカは景気後退に陥っています。」との声明を出しました。その日、ホワイトハウスではジョー・バイデンが反論しました。バイデン大統領は、雇用の継続的な増加と製造業が拡大していることに言及し、「私は、不況に陥っているとは思えない。」と言い放ちました。レイバンのアビエーターサングラスを着けた老人は、颯爽としていて意気軒高に見えました。
労働省が毎月発表する雇用統計が金曜(9月2日)の朝に発表されましたが、雇用者数が7月の52万6千人に続き、8月も31万5千人増えていました。また、労働省が発表した家計調査の結果を見ても、先月は雇用者数が44万2千人増加しており、引き続き雇用が強いことを示しています。労働省の家計調査に基づく失業率は、3.5〜3.7%と僅かに上昇しています。しかし、それは、雇用が減少したということよりも、むしろ経済活動がより活発になったことが反映されたものです。8月には、786万人もの人が就業または求職を開始しました。労働力率(labor-force participation rate)は62.4%に上昇しています。
そうした直近の雇用に関する数値を見れば、どう見てもアメリカが景気後退期に突入したと判断することはできません。夏の間に雇用が増え続けていて、5月末から110万人以上も雇用が増えました。米国経済は不況に陥ってなどいないのです。それどころか、この1年間で、雇用者数は580万人も増えています。金曜日(9月2日)に雇用統計が発表された後、おそらくバイデン大統領はホワイトハウスで大喜びしていたのではないでしょうか。バイデン大統領は、企業投資を促進するためのイベントにて、雇用に関する数値を賞賛していました。「アメリカ経済は非常に力強く、雇用が増え続けています。今日発表された数値によれば、私が大統領に就任して以降、1,000万人近い新規雇用が創出されました。1,000万人近い雇用がこのような短期間で生み出されたことは、かつてありませんでした。」と彼は語っていました。
毎月公表される雇用統計の数値は、より広い文脈で理解する必要があります。昨年は新型コロナパンデミックの影響で落ち込んでいた景気が、1984年以降で最速のペースで拡大していました。それがここにきて大幅に減速していることは明らかです。8月の雇用統計を見ると、賃金の上昇率はインフレ率よりも緩やかであることが確認できます。労働者の購買力は低下しているのです。さらに、今後数ヶ月の間に何が起こるかは、誰にもわからない状況です。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために利上げを続けています。その結果、アメリカの景気が本格的に失速してしまう可能性もあります。そうした懸念が、ここ数週間の株式市場の下落に反映しています。金曜日(6月2日)に強い雇用を示す数値が示された後、市場がその数値の意味を咀嚼した後、NYダウはさらに下落しました。
しかし、共和党が主張している「現在、アメリカは不況に陥っている」というのは、必ずしも真実ではありません。もし、それが真実であれば、建設業や小売業や派遣業など景気循環が色濃く反映しやすいセクターでその兆候が見られるはずです。しかし、そうした兆候は一切ありません。今回の雇用統計を見ると、実際には、6月、7月、8月と、これら3セクターの全てで雇用者数が増加しています。他の統計資料を見ても、景気拡大が続いていることが示されています。民間調査機関である全米産業審議会(Conference Board:経済団体、労働組合などで構成する非営利の民間調査機関。消費者信頼感指数を発表している)によると、ガソリン価格が下落したことにより、8月の消費者信頼感指数は上昇していました。アトランタ連銀が公表しているGDPの予測数値であるGDP Nowの数値は、7月から9月までの3ヵ月間のGDP成長率は年率換算で2.6%となっています。直近2四半期から回復しているのです。
11月に中間選挙を控えているわけですから、おそらく、共和党が自分たちの間違いを認める可能性は無いでしょう。金曜日(9月2日)に、雇用統計が発表された際に、共和党のマッカーシー下院院内総務は雇用統計の数値に何も反応しませんでした。また、サウスカロライナ州のリンゼイ・グラハム上院議員(トランプ擁護の急先鋒)も反応しませんでした。GOP(Grand Old Party:共和党のこと)の反応は、下院歳入委員会の共和党トップのケビン・ブレイディ議員(テキサス州選出)に委ねられていました。ブレイディは、「バイデン政権によってもたらされた不況と急激なインフレのため、多くのアメリカ人が生き延びるために職場に戻らざるを得ない状況である。」との声明を出しました。
ブレイディの声明は苦し紛れとはいえ、良く練られたものであり、その点は少なくとも評価したいと思います。ここ数年、新型コロナパンデミックの影響が残っているため、多くのアメリカ人が仕事に復帰できないのではないか、あるいは仕事を探すことすらできないのではないかという懸念がありました。しかし、ここ数カ月の雇用統計の数値は、そうした懸念を払拭するものでした。雇用者数は、新型コロナパンデミック前のピークであった1億5,250万人を初めて上回り、1億5,270万人となりました。つまり、新型コロナによって失われた雇用は全て取り戻され、さらに増加に転じているのです。新型コロナの影響が出始めた2020年年初から見ると人口が増加していますので、さらなる雇用増の余地があると推測されます。特に若年層や高齢者層では余地が大きいと推測されています。しかし、プライムエイジ・ワーカー(prime-age worker:25〜54歳の働き盛りの世代)の労働参加率は、2020年2月の80.5%に対し、先月8月は80.3%でした。若干新型コロナパンデミック前の水準を下回っていますが、ほぼ回復したと言えます。
そうした数値はアメリカ経済が決して弱くないことを示していて、決して見るのが嫌になるようなものでもありません。もっとも、あなたが共和党の議員で、アメリカは景気後退に陥ったと主張しているのであれば話は別です。♦
以上
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