CPI(1/12発表) 12月は6.5%に鈍化 前月比も2年半超ぶりのマイナス FRBはまだ金利を上げる?

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker Web版にのみ掲載のJohn Cassidyのコラムです。タイトルは、”A Message for the Federal Reserve in the New Inflation Data”(FRBは、最新のCPI報告書の数字を良く見るべき)となっています。

 本日翻訳するコラムは、1月12日(木)に発表されたCPIに関するものです。ご存じの方も多いと思いますが、CPIは毎月15日前後に発表されます(ちなみに雇用統計は毎月第一金曜日で固定)。つい3ヶ月位前まで、マーケットはCPIよりも雇用統計に注目していました。株や債券やFXをされている方もそうだったと思います。雇用統計は、前月度に関する数値で一番最初に発表されるものだったからです。しかし、昨今ではCPIの発表を受けて、市場が大きく動くようになっており、マーケットはこの数値をより重視しているようです。John Cassidyも以前は雇用統計が発表された翌日の土曜日に関連したコラムを寄稿していましたが、この数ヶ月はしなくなりました。

 雇用統計よりCPIが注目される状況は、今後も続くのか?そんなことは無いような気がします。インフレ下の今だけのことのように思います。FRBがFFレートを上げるか据え置くかが、インフレ下では特に大きく為替、債権市場に影響するからです。まあ、しかし、雇用統計の数字は早く出るがゆえに、あくまで暫定値であり後になって大きく修正されることもあるので、もう少し正確な数値を出してほしいと思わなくもありません。

 さて、もうそろそろ市場の長期金利が5%に近づきます。5%といえば、投資会社や運用会社が目指す運用の予想期待値と思われます。5%になったら、資金の大きな部分を期間の長い債権で運用できるようになります。そのことも長期金利に直接作用できるFFレートの動向に大きな影響を与えるCPIに注目が集まっている理由だと思われます。

 さて、今回のコラムの要旨は、次の通りです。

  1. 物価は既に下落に転じたと推測される
  2. 労働省発表のCPIは癖があり、住宅費の動向が反映される際に数カ月のタイムラグが発生
  3. 住宅費は22年後半から下がっており、それが徐々に反映されて今後CPIを押し下げる
  4. インフレ収束が明らかであるが、FRBはインフレ退治を優先して金利を上げる予定
  5. 23年後半には景気後退局面に陥ると予測するエコノミストが多い
  6. FRBは21、22年の急激なインフレ時に対応を誤った(遅れた)
  7. FRBは今回は対応を誤らないで欲しい。景気後退局面入り回避も重要な任務である

 私もFRBには対応を誤ってほしくないと思います。パウエル議長は、インフレ対応で後手に回って批判されたことで、とにかくインフレ退治に拘っているようです。バイデン政権からもとにかくインフレ退治を優先するよう指示を受けたと推測します。いや、だけど景気後退回避も中央銀行の重要な責務だと思うのです。意固地にならずに冷静にどのように行動すべきかを検討してほしいと思います。彼は、もともとが法律家で特に経済に詳しいわけでも無いわけですから、バイデン政権の中枢から景気後退回避の指示をしっかり出すべきです(中央銀行はあくまで中立であって欲しいものの)。

 では、以下に和訳全文を掲載します。短いです。詳細は和訳全文をご覧ください。