新型コロナの2度目の冬到来!感染は拡大する?縮小する?変異株は出現する?ワクチンの免疫は持続する?

2.新型コロナの感染状況を予測する難易度は非常に高い!

 過去1年半に渡って、新型コロナウイルスは繰り返し私たちを驚かせてきました。公衆衛生に関して改善が幾度も為されていますが、一部は効果があったのかもしれませんが、本当に効果があったは良く分かっていないのが現状です。新型コロナウイルスについては依然として不明な点が沢山あります。なぜ感染拡大している地域と拡大していない地域があるのか原因は不明なままですし、どういうことが原因で感染者が減っているのか、どんな時に減るのかということも分かっていません。どんな時に変異株が出現するかといったことも分かっていません。新型コロナの感染がどのように推移するかを予想しようにも、さまざまの要因が関与しているので、非常に困難です。全ての要因が明らかになって対策が為されない限り、なかなか新型コロナ前の「普通」の状態に戻るのは難しいのかもしれません。それでも、今やるべきことは明確で、沢山の要因があるわけですが、最も結果に大きく影響を及ぼすと考えられることに対して集中的に対策を実施するべきです。やはり、1番力を入れるべきは、人と人の接触を減らすことです。米国では、多くの企業や学校等が閉鎖や制限を解除し始めています。対面の会議や対面授業が再開され、気温も下がるので室内で過ごすことも増えると予測されます。そうした状況下で何も対策が実施されなかったら、再び新型コロナの感染が拡がるのではないでしょうか。

 感染が拡がる可能性が無いわけではありません。その理由の一部は、ワクチン接種を受けないで感染しやすい人が沢山存在しているということ、ワクチン接種後の免疫力が減退する可能性があることなどです。これから寒い冬に突入するわけですが、以前に新型コロナの感染率が高かったエリアで、ワクチン接種率も低いようなエリアでは再び感染者が増える可能性があります。CDC(米疾病管理予防センター)がケンタッキー州で最近行った研究で判明したのですが、新型コロナに感染した者でワクチン接種を受けたことがない人が再感染する確率は、ウイルスに感染した後でワクチンを接種して免疫を獲得した人の2倍以上もあるのです。ワクチン接種を受けても、ブレイクスルー感染する可能性はゼロではなく、必ずしも安全なわけではありません。それでも、ブレークスルー感染は頻繁に発生するわけではありませんし、発生してもほとんどが軽症です。ワクチンはデルタ株に対しても効果があります。ただし、新型コロナのワクチンについては長年の臨床試験結果が未だ存在しないわけですが、ワクチンで得られた免疫力が経時的に劣化するものであると、高齢者などがブレークスルー感染をして重篤な状態に陥る可能性が高くなっていくかもしれません。さて、集団免疫は徐々に高まっていくでしょう。理由は、3回目接種等の施策が実施されること、感染して免疫を獲得する者がいることなどです。集団免役が一時的に高くなっても、経時的に下がっていく可能性もあります。カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部長のロバート・ワハターは言いました、「それはサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの絵を描くようなものです。情景が常に変わり続けるので、描き終わったと思った瞬間に、また最初から描き直さないといけないのです。」と。今冬の新型コロナの感染を予測する際に、予測をより難しくしているのは、新たな変異株が出現する可能性があるということです。どんな変異株がいつ発生するか全く予測できません。場合によっては、これまで実施してきて有効だった対策が全く無効になってしまう可能性だってあるのです。

 低所得国では、新型コロナワクチンを1回でも接種した人の割合は僅か2%でしかありません。これは、道義的に非常に問題ですし、公衆衛生上も問題です。その結果、低所得国では今でも毎週何千人もの人々がワクチンを接種していれば助かっていたと思われるのに亡くなっています。そして、そうした国では新型ウイルスに対する検疫も不十分ですので、新型コロナウイルスがノーチェックで吐き出され続けています。そのことは、これまで以上に危険な変異株の出現可能性を高めています。今年の6月の時点では、米国の1日当りの新型コロナ感染者数は現在の10分の1で、パンデミックが始まって以降で最低水準でした。その後、デルタ変異株が出現して、約10万人が米国で新型コロナ関連で亡くなっています。スクリプス研究所のエリック・トポル所長は言いました、「このあと新型コロナの感染状況がどうなるかは、凶悪な変異株が出現するか否かということに負うところが大きいでしょう。現状では、新型コロナは世界的には封じ込めていません。いやそれどころか、米国でも封じ込めできていません。これまでのところ、米国では1度も驚異的な新型コロナの変異株の発生源にはなっていません。アルファ変異株、ベータ変異株、ガンマ変異株、デルタ変異株、いずれも米国以外の国が発生源です。しかし、今後、米国が発生源の変異株が登場する可能性が全く無いわけではありません。米国発のギリシャ文字の名前を冠した変異株が登場しないとは言いきれません。」と。