トランプ政権下の国防総省と AI 界の異端児アンスロピックが対立。政権は 2 億ドルの契約解除と「サプライチェーンのリスク」指定をした。異例の事態の裏にある、AI を単なる兵器と見なす国防総省とその自律性に警鐘を鳴らす開発者との深い断絶。国家による AI 国有化の影と次世代の「軍産複合体」が直面する不条理な現実を追う。
本日翻訳して紹介するのは、 スタッフライターの Gideon Lewis-Kraus が 2026 年 3 月 14 日にthe New Yorker の web 版に寄稿した記事で、タイトルは” The Pentagon Went to War with Anthropic. What’s Really at Stake?“( 国防総省とアンスロピックの紛争勃発。何で揉めているのか?)です。スニペットは、The Trump Administration wants Claude to act like an obedient soldier. But, if you ask for a killer robot, the company argues, you might get more than you bargained for.”(トランプ政権はクロードに従順な兵士のように振る舞ってほしいと望んでいる。しかし、殺人ロボットを要求すれば、想定外のことが発生するだろう、と同社は主張する)となっていました。Lewis-Kraus はスタッフライターで主にテクノロジー分野をカバーしています。以前、世界規模の少子化に関する記事を書いていました。非常に面白かった記憶があります。
さて、今回翻訳した記事は国防省とアンスロピックの対立に関するものでした。国防総省がアンスロピックを切った影で、オープン AI のサム・アルトマンやイーロン・マスクが隙あらば国防総省に取り入ろうとしていて笑えますね。本来であれば、彼らは AI 業界全体の利益を守るべく、国防総省が不当にアンスロピックを排除することを非難すべきです。自社がトランプ政権に睨まれるからそうした行動を起こしたくてもできないというのなら理解できますが、自分だけ取り入ろうとするのは違うだろっと突っ込みたくなりました。
でも、今後やアルトマンやマスクのような経営者が増えるでしょう。というのは、誰もトランプ政権には歯向かえないからです。去年、過去にトランプ自身や側近の訴追に関与した大手法律事務所(ジェナー・アンド・ブロック、ウィルマーヘイルなど)に、トランプは大統領令や司法省を通じて報復措置を講じました。以前であれば、他の法律事務所等が協力して声を上げたり、手を差し伸べようとしました。しかし、どこも沈黙でした(どさくさ紛れに有能弁護士の引き抜きをしているところさえあった)。正義はどこにいったの?と思うわけですが、大きな力を持つ大手法律事務所でさえ逆らえないのだから、どこも屈服するしかないのでしょう。現実問題、アルトマンなんかは膨大な借金をして投資をして事業運営しているわけで、ここは筋を通すとか考えず(ハマる可能性が高い)、アンスロピックの後にさり気なく滑り込もうとすることを責めることはできません。私はソフトバンク G の株主ですので、間接的にアルトマンに出資している形です。彼には頑張ってほしいと思っています。まあ、いろいろと無理やと思うけど。
話がそれてしまいましたが、和訳全文は結構長いので、要約(400字程度)を掲載した後に和訳全文を掲載します。要約を読んで興味を持たれた方はぜひ和訳全文もお読みください。
要約(400字程度)
国防総省とアンスロピックの軋轢
- 紛争の背景と経緯
- 2025年、アンスロピックは国防総省と最大2億ドルの契約を締結したが、AIの軍事利用の制限を巡り対立が表面化した 。
- トランプ政権はAIを「従順な兵士」として全権掌握することを望んだが、アンスロピックは自律型兵器や大規模監視への利用を拒絶した 。
- 対立の核心:AIの定義を巡る断絶
- 国防総省の視点: AIをPCや戦闘機と同様の「通常のテクノロジー」と見なし、政府がその使用ルールを決定すべきだと主張 。
- アンスロピックの視点: AIを予測不能な「自律的エージェント」と捉え、倫理的整合性(アライメント)のない軍事利用は暴走のリスクを伴うと警告 。
- 決裂と強硬措置
- 交渉決裂後、ヘグセス国防長官はアンスロピックを「サプライチェーンのリスク」と宣言し、全防衛請負業者との取引を禁止する実質的な「死刑宣告」を下した 。
- この空白を突く形で、制約を受け入れ「セーフティースタック」を提唱するオープンAIが国防総省との距離を縮めている 。
- 今後の展望
- アンスロピックは政府を相手に提訴。AIの支配権を巡る争いは、司法の場へと移された 。
以上、要約でした。
以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。