本日翻訳して紹介するのは、Web版にのみ掲載のJohn Cassidyによるコラムです。タイトルは、”Biden Heads for the Midterms with Ten Million New Jobs”(バイデン大統領が中間選挙に向け奮戦中!1,000 万人の新規雇用を生み出した実績をアピール!)です。
John Cassidyはスタッフライターで、経済、政治関連の記事の投稿が非常に多いです。このコラムは、10月7日(金)にアメリカ労働省が雇用統計(Non farm payroll)を発表したことを受けてのものです。ご存じの方も多いと思うのですが、アメリカでは毎月第1金曜日に前月の雇用統計が発表されます。この数値は、あくまで速報値で後に大きく修正されることも多いのですが、前月度に関して一番早く出される経済指標なので市場が大いに注目しています。今回も発表された後、雇用が引き続き堅調なことをが確認され、FRBが金利を上げ続けるとの予測が支配的となり、ニューヨーク市場は大きく下げました。
さて、今回のコラムでは、バイデン大統領の就任後2年間について記されています。新型コロナパンデミックの影響で、景気が急激に落ち込んで失業者数が大きく増えた後に彼は就任しました。ですから、その後、景気が急回復したのは当たり前で、落ち込んだ分が自然に回復しただけで、それは彼の成果ではないと主張するエコノミストも少なからずいるようです。
たしかにその通りかもしれません。しかし、回復するスピードが、アメリカは他のどの国よりも早かったという事実を見逃してはいけません。そうなったのには、バイデン政権および民主党が”米国救済計画法”(American Rescue Plan Act)を承認して素早い景気下支え策を実施したことが寄与しているのです。バイデンは中間選挙に向け、その成果を誇って戦うでしょう。というか、インフレ率がとても高いので、それしか誇ることが無いわけです。
やはり、中間選挙では民主党はかなり厳しいのではないでしょうか?以前よりは劣勢を挽回しつつあり、接戦に持ち込みつつあるようです。どうしても足元でインフレ率が高いままであるということが弱点になってしまいます。アメリカ商務省のCPI発表が中間選挙前は、10月13日(木)、11月10日(木)の2回のみです。市場予想(マーケットコンセンサス)では、10月13日に発表される9月のCPIは8月より悪いと見られています。
1カ月ほど前には原油価格が下がりだしたので、時間が経てば(CPIは遅効性があるので)CPIは下がるだろうという予測がちらほらと見られました。ですが、現時点で下がってないとなると、バイデン大統領の命運も尽きたのかもしれません。中間選挙直近の発表となる10月度のCPIが下がっても、それまで共和党側から散々攻撃されるでしょう。まあ、とても運が悪い人なのかもしれません。
バイデン政権と民主党は、目標を変更するしかありません。たとえ、中間選挙で惨敗し、2年後の大統領選で共和党候補に敗れたとしても、トランプの再登板だけは阻止したいと考えているでしょう。しかし、それも決して簡単なミッションではないような気がします。OPECが減産をして、ウクライナ戦争の終結がなかなか見通せない状況では、インフレ率はなかなか下がらず、現職大統領への逆風はしばらく止みそうにありません。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。
- 1
- 2