本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に 2 月 3 日に投稿された John Cassidy のコラムで、タイトルは” deepseek-chinas-sputnik-moment “(DeepSeek はスプートニクショックの再来か?)となっています。
Cassidy はスタッフライターです。経済関連の記事を多く書いています。スニペットは、” The Chinese company’s low-cost, high-performance A.I. model has shocked Silicon Valley, and a longtime China watcher warns that the West is being leapfrogged in many other industries, too. “(中国企業の低コストで高性能な AI モデルはシリコンバレーに衝撃を与えている。長年の中国ウォッチャーが警告しているが、西側諸国は他の多くの業界でも既に追い抜かれている)となっていました。
さて、中国の DeepSeek が AI を発表しました。その開発にかかった投資額が非常に少ないとの報道があります。それで議論が巻き起こっています。1 月 27 日はその影響で Nvidia などのテック企業の株価が軒並み暴落しました。私なんかはソフトバンク G (ティッカコード 9984 )の株をしこたま仕込んでいたので(現物も信用も)、その日の午前は信用建玉の損切りして大きな損失が出ました(午後に信用売りでかなり取り戻しましたが)。
さて、DeepSeek は西側諸国の AI を凌駕する能力を有しているのか?また、報じられた投資額の少なさは本当なのか?報じられているところによれば、能力はかなり高いようです。投資額の少なさについては、実際にかかった金額ではなく進行中のコスト削減曲線上の将来の到達点ではないかと指摘する者もいます。いずれにしても、中国企業の実力は侮れないと思います。
DeepSeek の偉業が大々的に報じられたことで、西側諸国はショックを受けています。西側諸国はこれで目が覚めて、もっとテック企業の育成に力を入れるようになるのではないでしょうか。かつて、スプートニクショックというのがありました。宇宙開発のリーダーを自認していたアメリカは、人工衛星打上げでソ連に先を越されて衝撃を受けました。しかし、それで危機感を抱いたアメリカは、科学教育や研究の重要性を再認識して膨大な予算をつけ、危機意識の中で軍事・科学・教育を大きく再編したのです。その成果が、アポロ計画であり月面着陸成功です。
私は、今回のショックでアメリカは危機感が強まって、AI 等のテクノロジーの開発に血眼になると見ています。だから、再び中国の AI を引き離すような飛躍を遂げると予測します。しかしながら、先進テクノロジーへの投資が促進される状況が構築されないような場合には、中国に逆転されると思います。それは既にソーラーパネル、電気自動車、原子力発電、鉄道などで起こったことです。何とか AI 、ロボット、核融合などでは西側諸国が中国を退けて欲しいと願っています。独裁者がウイグルでジェノサイドを続けている国が科学、軍事面で西側諸国を凌駕するようになる未来は思い描きたくありません。
先端テクノロジーで勝とうと思ったら、大学を含めた高等教育を受ける者を多く育てる、十分な投資がなされるように助成する、税制を含めて投資しやすい仕組みを作る等々が必要でしょう。日本も最先端テクノロジーの育成に向いた環境を構築できれば、まだまだ世界と伍して闘えると思います。政府にはそこの舵取りをしっかりしてもらいたいものです。AI で他国に先んじているアメリカ人と中国人が他の国の人たちより頭が良いわけではないのですから。そんなものはどこの国の人もほとんど同じに決まっています。個々人で差はあるが、民族、国籍、性別等で輪切りにしてみれば、平均値はほとんど変わらないはずで有為な差は無いはずです。
話がそれてしまいましたが、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。
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