Why a Negative Test Doesn’t Guarantee You Don’t Have the Coronavirus
なぜ?PCR検査で陰性と判定されても、実際には新型コロナに感染している人が沢山いる!
We want coronavirus tests to give us the all-clear. But, in medicine, test results are clues, not answers—and no test is perfect.
新型コロナに関して検査を受ければ、陽性か陰性かはっきり分かると思うじゃないですか?でも、実際には検査結果は、確定的なものではなく、単なる手掛かりでしかないのです。全ての医療検査は完全に正確ではないのです。
By Clayton Dalton September 16, 2020
1.どんな医療検査も完全には正確ではない
私は研修医をしていた時、産科病棟で一カ月過ごしました。そこで新生児の出産について学びました。ある時、私は廊下を通って奥の分娩室に連れて行かれました。分娩室の中では、出産間近の妊婦がベッドに横たわっており、隣にその夫とおぼしき者が座っていました。それ以外にも沢山の人が居ることに気が付きました。産科医と助産婦が何人も居ただけでなく、新生児ICUチームから小児科医や看護師が何人も集まっていました。
「これはリスクの高い分娩ですか?」と、私は産科医の1人に尋ねました。
「そうです。この妊婦のお腹の中の胎児は、クリ・デュ・チャット症候群(別名:猫鳴き症候群)に関するスクリーニング検査をしたところ陽性反応を示していました。」と、その産科医は小声で言いました。
クリ・デュ・チャットとは、仏語で「猫の鳴き声」を意味します。1万5千人から5万人に1人の割合で乳児に発症する稀な染色体異常による先天性の疾患です。1963年にフランスの遺伝学者であるジェローム・ルジューヌによって発見されました。胎児の発育の初期に、5番染色体の短腕に部分欠損が生じることが原因と考えられます。配送用トラックの後ろから荷物が誤って落ちてしまうように欠損が発生していると考えられています。症状としては、筋緊張の低下、低体重、口唇裂、小頭、言語の遅れ、学習障害等がみられるようです。クリ・デュ・チャット症候群の新生児の10人に1人は、1年未満で亡くなります。声帯の解剖学的構造も影響を受けることが多く、猫の鳴き声に驚くほど似た泣き声を発するので猫鳴き症候群という別名があります。
クリ・デュ・チャット症候群はそのような重大な障碍を引き起こす可能性があるため、危険因子が認められる妊婦にはしばしばスクリーニング検査が実施されます。胎盤から母親の血液中に移動する胎児のDNAの断片を採集することにより、医師は遺伝性疾患の証拠を検出できる場合があります。しかし、スクリーニング検査というのは、胎児のDNAを直接採取するものではないため、胎児の遺伝子と染色体の完全な情報が得られるものではありません。得られる情報は、少しぼやけたスナップショットのようなものです。検査結果が正確ではない可能性があります。偽陽性であったり、偽陰性の場合があります。スクリーニング検査で陽性と診断された場合には、診断を確定させるためにはさらに別の検査をする必要があります。その診断確定の為の検査では、胎児または胎盤の組織のサンプルを採取するのですが、スクリーニング検査の時よりも躰の奥の組織を採取する必要があります。スクリーニング検査よりも正確とはいえ、それでも完全に正確ではありません。診断確定用の検査なのですが、時として検査結果が正しくないことがあるのです。
私が分娩室の後ろの方に立っていた時、先ほど私に胎児にリスクがあることを教えてくれた産科医が教えてくれたのですが、その妊婦は診断確定のための詳しい検査をいくつも受けていたということでした。検査結果は胎児がクリ・デュ・チャット症候群を患っていないことを示していました。その結果は妊婦と夫にも共有され、胎児はおそらく健常であると思われると伝えられていました。しかし、検査結果が絶対に正しいと言うことは出来ませんでした。新生児用ICUチームは、万が一に備えて準備していました。出来る限り詳しい検査をして患っていない可能性が高いという検査結果を得ていましたが、胎児がお腹の中から出てくるまでは、本当に検査結果が正しいかどうかは分からないのです。
分娩室で、お産が始まりました。子供の頭がちらりと出てきました。次に肩、次に手足、体躯が出てきました。分娩室内の多くの看護師や医師が静かにお産を見守っている間、部屋中の空気は凍り付いたように静かでした。産科医が新生児を産道から取り出しました。さい帯を切ったところ、新生児は口を大きく開けて、空気を吸い込み、泣き声をあげました。疲れ果てた母親は、新生児を抱きしめた時に微笑んでいました。母親は疲れ果てていたので、回りの者たちに聴こえたものが聴こえていなかったのかもしれません。新生児の泣き声は普通の泣き声ではありませんでした。甲高くて、か弱い猫の鳴き声のような泣き声でした。