脅威!続々と出現する変異株!新型コロナウイルスの変異はいつまで続くのか?どこまで変異するの?

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker のWeb版にのみ掲載のコラムで、新型コロナウイルスの変異の行方について論じたものです。新型コロナウイルスの変異株が続々と生まれています。変異が続いて、いずれもの凄い感染力の、免疫防御を潜り抜ける能力も高く、重症化率・致死率も高い変異株が出現するのでしょうか?

 Dhruv Khullarによる寄稿コラムです。タイトルは”How Will the Coronavirus Evolve?”(コロナウイルスはどのように進化しますか?)で、サブタイトルは”Delta won’t be the last variant. What will the next ones bring?”(デルタは最後の変異株ではありません。次の変異株はどんなものでしょうか?)です。彼は医療関係の記事を沢山書いています。医師でワイルコーネル医科大学の助教授でもあります(たまに政治関連の記事も書いています)。彼は、医療関係の知識があまり無い私のような読者にも理解しやすい記事を書きます。彼の文章は「3つの可能性があります」等の記述があり、非常に構造が分かり易く理解しやすいです。また、比喩が得意のようです(このコラムでも、大腸菌が変異によりクエン酸塩を代謝できるようになったことを、人間にたとえると海水を飲んで生きられるようになることと同レベルの変異であると喩えています)。彼の記事が出たら、出来るだけ訳すようにしていきたいと思います。

 さて、新型コロナウイルスの変異株が続々と生まれています。アルファ変異株、ベータ変異株、ガンマ変異株・・・。今後も続々と変異株が生まれて、ついにはワクチンも効果が無く、感染力も強く、致死率も高い変異株が登場するんではなかろうかと心配になりますね。でも、そうなる可能性は少ないのではないでしょうか。実際、過去に流行した感染症のウイルス(はしか、風疹、ポリオ等々)で、そのような変異株が出現したことはありません。ですので、新型コロナウイルスでも同様に出現しないと思われます。

 ウイルスというのは微小なものですので、何かの能力が高まったら(例えば、人間のワクチン接種で出来た抗体を掻い潜る能力が高まるとか)、代償として他の能力が弱まるのです(感染力が弱まるとか)。Dhruv Khullar に倣って比喩を使うならば、私の応援するグランパスが、攻撃的なサッカーを志向する風間監督を守備構築に定評のあるフィッカデンティ監督に代え、守備力が上がって失点が減ったものの代償としてゴールを奪う能力が低下してしまったのと似ています。まあ、補強が上手くいったり若手が勝手に育ったり全員のモチベーションが高くなったりMFガブリエル・シャビエルが怪我しなくなったりCF山﨑凌吾が覚醒してレアンドロ・ダミアンみたいになったり急に右SB成瀬竣平の身長が20センチ伸びたりして、攻撃力を維持したまま守備力が向上する可能性はゼロとは言いません。同様に、狂暴な変異株が出現する可能性はゼロではありませんが、非常に非常に低いと思われます。

 さて、この記事で私がウイルスの変異について理解できたことがあります。レンスキーの長期実験で明らかになったのですが、ウイルス等の変異では3つの事実が判明しています。

  1. 変異は、何世代も続くものの、大きな変異は世代が若い頃に起きる確率が高い
  2. 変異は、終わることなく永遠と続く。しかしながら、世代が下ると頻度は減っていく
  3. 大きな変異(大腸菌がクエン酸塩を代謝できるようになるような)は突然起こる

 新型コロナウイルスは既に1度大きな変異(人間に感染できるようになった)を起こしています。世代が下るごとに変異の頻度は減りますし、大きな変異が起こる可能性も減ります(ゼロではないが)。ですので楽観的に考えて良いのではないでしょうか。
 また、この記事でワクチン接種が進み人間の免疫が上がった状況下で、新型コロナウイルスの変異がどうなるか、3つの可能性があると示されています。

  1. ワクチン接種で高くなった人間の免疫を掻い潜るような変異は起きない
  2. ワクチン接種で高くなった人間の免疫を掻い潜る変異を起こす株が出現するが、その株は代償として感染力が弱く致死率も低くなる
  3. ワクチン接種で高くなった人間の免疫を掻い潜る変異を起こす株が出現し、その株は強い感染力を維持し致死率も高いままである

3つの可能性が示されていますが、1になる可能性が高いようです。というのは、過去に感染爆発が起き、ワクチンが開発されたウイルスのいずれもが1だったからです(麻疹、オタフク風邪、風疹、ポリオ、天然痘)。今回だけ違う結果になるとは考えにくいですね。

 和訳全文を読んでいただきたいですが、ワクチン接種して抗体とT細胞が作られたら、感染はするけれども体内で新型コロナウイルスが自己複製を繰り返すことは防げるようです。楽観するのは早いですが、過度に悲観的になる必要はないのではないでしょうか。

 では、詳細は和訳全文をお読みください。以下に和訳全文を掲載します。