本日翻訳し紹介するのはThe New Yorker のNovember 22, 2021 Issueに掲載の記事です。タイトルは”How Your Family Tree Could Catch a Killer”(系図学者が犯罪捜査に協力して、殺人犯を特定!)です。(系図学者が犯罪捜査に協力し、殺人犯を特定!)です。米国で未解決事件捜査でDNA情報が活用されています。
サブタイトルは、”Genetic genealogists like CeCe Moore are cracking cold cases and transforming policing. As DNA analysis redefines ancestry and anonymity, what knowledge should we be permitted to unlock?”(シーシー・ムーアを始めとする遺伝子系図学者は、未解決事件を解決し、犯罪捜査に革新をもたらした。DNAプロファイルを分析することで、祖先のあらゆることが分かるようになりました。しかし、DNAのプロファイルがあるデータベースへのアクセスは適切に制限すべきです。)となっています。Raffi Khatchadourianによる記事です。氏はスタッフライターで、氏の記事はかなり入念な取材によるものが多いです。
さて、この記事では、DNAのプロファイルを活用して米国では多くの未解決凶悪犯罪が解決していることに関するものです。30年以上前のお蔵入りしていた殺人事件の犯人が特定された件などが取り上げられています。これを読んで私が新たに認識した事項は主に3つです。
1つ目は、 DNAのプロファイルを元に犯人が特定されたら、基本的には100%間違いないということです。まあ、当たり前のことなんですけど、現在のDNA検査の精度は非常に高いようです。でも、この記事に登場した殺人犯は裁判所で有罪判決を受けた際に泣き崩れて「俺はやってない!」と叫んでいます。それでDNAを元に調査を進めたムーアという人物も、少しだけ「アレ、間違えたかな?」と不安に思ったようです。結論としては、犯人が否定しようが、DNA検査は非常に正確だということです。
2つ目は、 DNAのプロファイルを捜査に生かそうと思ったら、膨大なDNAのデータベースがあることが前提です。犯行現場の犯人の遺留物に残っていたDNAのデータをデータベースにあるデータと照合して、犯人とDNAの共有がある人物を探し出します。日本ではまだそうしたデータベースは無いと思います。しかし、米国では既にそれがあるのです。驚いたことに、そうしたデータベースのほとんどは民間のものなのです。捜査当局はそうしたデータベースを持っていないのです。捜査当局は法律の定めに従って凶悪犯罪の捜査時の民間のデータベースにアクセスしてデータを見ることが出来るようです。
3つ目は、DNA検査のコストが数年で非常に下がったということです。おそらく、コストがかからず、指紋等のデータとは比較にならないほど多くの情報が得られるので、今後ますます犯罪捜査等で生かされるでしょう。しかし、DNAの情報等言うのは非常にデリケートな個人情報です。私のDNAデータが漏出したら、父や母のDNAデータの50%が漏出したことになります。兄や弟や妹のDNAデータの25%が漏出したことになります(計算間違っているかも?)。ですので、捜査当局がDNAデータの利用をする際の規定だけはきちんと定めて欲しいと思いました(既に定まっていると思いますが)。
では、以下に和訳全文を掲載します。