AI バブルはインターネットバブルと同様に弾けるのか⁉現時点ではわからない!

本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に 12 月 12 日掲載された Joshua Rothman のコラムで、タイトルは” Is A.I. Actually a Bubble?“(AI はバブルなのか?)です。Rothman はスタッフライターで AI に関する記事が多いです。

 スニペットは、” The narrative of boom and bust is familiar—but also out of step with the possibilities of a new technology.”(インターネットバブルと崩壊のナラティブはよく知られているが、新しいテクノロジーは必ずしも同様な結果になるわけではない)となっていました。訳してみて意外に思ったのは、タイトルと違って、AI バブルが弾けるか否かは要旨ではないということです。むしろ、AI が生身の労働者に取って代わるか否かが主に論じられています。Rothman は置き換わらないだろうと推測しています。そうではなく、AI は人間の学習、人的資本の蓄積を助けるとのことでした。

 では、、この下に要約を記し、そのさらに下に和訳全文を載せます。

  1. AIによる人的資本の向上と個人の体験
    • 学習の加速と能力拡張: AIは、子供のコーディング学習を劇的に加速させるなど、個人の「人的資本(スキルや知識への投資)」を向上させる強力なツールとなっている 。
    • 人的資本の本質: 経済学者シュルツが提唱した「人的資本」は、個人の能力向上への投資が経済成長の大部分を説明するとされるが、企業はその急激な変化や活用に苦慮している 。
  2. 企業におけるAI導入の現状と課題
    • 「代替(オートメーション)」への偏重: 多くの企業は高額なAIコストを正当化するため、カスタマーサービスなどの「人員削減(労働力の代替)」によるコスト削減に注力している 。
    • ITの歴史からの教訓: 1980〜90年代のIT導入期も、当初は単純作業の代替と見なされていたが、最終的には「従業員の効率性と価値を高めるツール」へと再定義された。AIも同様の経過をたどる可能性がある 。
    • AIの限界: 現在のAIは責任を取れず、文脈を理解しきれないなど本質的な欠点があり、人間を完全に置き換えることはできない 。
  3. AIバブル論とインターネット・バブルとの比較
    • 崩壊の懸念: 一部の識者は「AIはバブルであり、いずれ崩壊して何も残らない」と主張し、巨額投資がSF的なシナリオに基づいていると批判している 。
    • インターネット・バブルとの相違点:
      • 1990年代のインターネットは技術の性質や活用法(EC、クラウド等)がある程度確立されていた 。
      • 現在のAIは、科学的に未完成であり、規模の拡大が知能の向上に直結するか、人間レベルの思考が可能かといった根本的な問題について専門家の間でも意見が分かれている 。
  4. 結論:私たちが取るべき姿勢
    • 二つの不確実性: 「企業がAIからどう価値を引き出すか」と「AIがどこまで賢くなるか」という二つの大きな不明点が存在する 。
    • 現実的な活用への集中: AIが世界を変革するほど賢くなるかという推測に振り回されるのではなく、「人間を支援し、人的資本を高める」という既に分かっている有益な側面に注目して行動すべきである 。