本日翻訳して紹介するのは、The New Yorker のWeb版にのみ掲載のコラムです。4月21日に投稿されました。タイトルは、”Is the Russian Military a Paper Tiger?”(ロシア軍は張り子の虎?)です。 Isaac Chotinerによるコラムです。専門家がロシア軍の能力を論じています。
Isaac Chotiner氏はスタッフライターです。専門家にインタビューをして、Q&A形式の記事をしばしば投稿しています。取材範囲は幅広く、政治経済や科学もカバーしています。政治や経済に関する書籍も出していますが、いずれも未邦訳のようです。スニペットは、”At a critical juncture in the war in Ukraine, logistical miscalculations and poor planning have revealed key weaknesses in Putin’s armed forces.”(ウクライナ侵攻の重大な時期に、ロジスティクスの不具合とお粗末な計画により、ロシア軍の重大な弱点が明らかになりました。)となっています。
さて、このコラムでは、Chotinerが軍事専門家に、ウクライナ侵攻で苦戦してるロシア軍の問題点、能力、今後の成り行き等について聞いています。それがQ&Aの形で記されています。聞いた相手は、ジョエル・レイバーン(Joel Rayburn)です。
ジョエル・レイバーンは、非常にロシア軍に対して辛口の批評をしています。ロシア軍は、張り子の虎であると断言しています。レイバーンは、たくさんロシア軍の不具合を指摘しています。例を挙げると、兵器類は旧式で整備もされていない、大規模軍事作戦の経験が不足している(今時そんな国は無いと思うのですが・・・)、指揮系統の混乱、ロジスティクス構築能力の欠如、兵員の練度不足と士気低下、将校の質の低さ、作戦設計能力の欠如等々です。悲しいかな、ロシア軍は、ウクライナでトルコ製の無人機バイラクタルTB2に防空システムを突破され装甲車両を破壊されていました。ロシア軍の兵器は、決して軍事大国とは言えないトルコの兵器よりも劣っているのです。まさしく張り子の虎だったのです。
レイバーンは、ロシア軍には全く取り柄が無いと断言しているわけです。さらに、将校クラスが能力の無い人間ばかり(コネが重視されているため)で、兵員の能力も低く士気が低いため、間違ってもロシア軍の能力が改善することはないと断言しています。そんな中でも、このコラムを読んで私が思ったロシア軍の最も致命的な欠点は 、汚職と腐敗が蔓延しているということです。
グルジア侵攻の際の不首尾を反省して、ロシア軍では改革プロジェクトが立ち上げられて毎年500~700憶ドルが兵器類の近代化のために投じられました。グルジア侵攻は2008年でしたから、10年以上に渡って大金が投じられたわけです。ですから、戦車などは全て最新鋭機に置き換わってなければおかしいのです。しかし、ウクライナ侵攻で無残に破壊されたロシア軍の戦車を見ると、旧式のT72戦車ばかりです。1971年に開発され冷戦時代に活躍した戦車です。1991年のイラク戦争でイラク軍が保有していて、米軍にボコボコにされた戦車です。最新鋭のT90戦車はウクライナには1台も投入されていないのです。大金は汚職によって蒸発してしまったのです。汚職と腐敗がロシア軍から無くならない限り、ロシア軍の能力が向上することは無いでしょう。
では、詳細は和訳全文をご覧ください。以下に和訳全文を掲載します。