Is the Russian Military a Paper Tiger?
ロシア軍は張り子の虎なのか?
At a critical juncture in the war in Ukraine, logistical miscalculations and poor planning have revealed key weaknesses in Putin’s armed forces.
ウクライナ侵攻の重大な時期に、ロジスティクスの不具合とお粗末な計画により、ロシア軍の重大な弱点が明らかになりました。
By Isaac Chotiner April 21, 2022
Q.1
今週、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、同国の対ウクライナ特別軍事作戦で新たな段階が始まっているとの見解を示しました。2月末から3月初旬の軍事作戦の停滞を反省して、ウクライナ東部に軍事力を集中させ、そこを完全に制圧することを最優先にしたようです。ラブロフは、この戦術転換は戦況の変化に即応して最適な戦術を選択したにすぎないと主張していますが、ロシアの特別軍事作戦がこれまでのところ誤算つづきであることが浮き彫りになりました。ロシアの特別軍事作戦の何が問題であったのかを理解するために、私は、ジョエル・レイバーンに電話で話を聞いてみました。彼は、元陸軍大佐、元米国務省のシリア特使で、現在はワシントンDCのシンクタンクのニュー・アメリカ財団(New America)で国家安全保障プログラムのフェローを務めています。以下に私と彼の会話の内容を記します。誌面の都合上、冗長な部分は割愛し、分かりやすさを増すために編集した部分があります。レイバーンから、シリア内戦時にロシア軍について認識したこと、ウクライナでロシアが犯した失敗の本質などについての話を聞くことができました。また、その失敗が意思決定の誤りや汚職からくるものなのかといったことについても話を聞きました。
Q.ロシア軍がウクライナで苦戦しているようですが、どのような理由が考えられるでしょうか?
A.ロシア軍は、ここしばらくは、これほど大規模な軍事作戦を実行した経験がありませんでした。今回の軍事作戦で、これまで隠されていた組織的・制度的な弱点が浮き彫りになってしまったのでしょう。今回のような大規模な軍事作戦を行ったのは、2008年のグルジア侵攻以降では初めてのことです。グルジア侵攻も上手くいきませんでした。ウクライナではさまざまな問題が噴出しています。それは、指揮系統の混乱、ロジスティクスの不備、兵員の練度不足、士気の低下、指示命令系統の混乱、将校の質の低さ、軍事作戦設計能力の低さなどです。それらは、グルジアの時にも見られたもので、構造的なものであると言わざるを得ません。また、航空隊と地上部隊の連携が十分でないなど、陸海空軍を統括する機能が脆弱なようです。
グルジア侵攻の不具合を受けて、その後の数年間で、ヴァレリー・ゲラシモフ将軍とセルゲイ・ショイグ国防相が主導する形で改革プログラムが実行に移されました。それによって、軍は再編成され、不具合は改善されるはずでした。その改革プログラム進行中に、ロシアはシリアで軍事作戦を展開しました。また、リビアやコーカサス地方でも軍事作戦を実行しました。それらの軍事作戦の際には、改革プログラムの効果が如実に現れているように見えました。しかし、今になって振り返ってみると、それらの軍事作戦は非常に小規模なものでした。だから、上手くいっただけなのです。シリアでは、一度に数千人以上の兵力を投入する必要はありませんでした。それゆえ、シリアでは、必要なロジスティクスを構築できました。また、補給、軍事作戦の計画、空軍と陸軍の連携などの面でも問題は発生しませんでした。しかし、ウクライナでの軍事作戦の規模は非常に大きなものです。おそらく、シリアの際の40倍ほどの規模だと思われます。その規模になったことで、ロシア軍の脆弱性が改めて白日の下に晒されたのです。すべて明らかになって分かったのですが、非常に衝撃的です。