Q.3
Q.そうしたロシア軍の失敗は、単に能力がないことが原因なのか、それとも何が必要であるかという判断を誤ったからなのか、どちらでしょうか?
A.判断ミスがあったことは確かです。また、ロシア軍には、ロジスティクスを構築する能力もありませんでした。ウクライナで明らかになったのは、ロシア軍には敵国の深部まで侵攻する作戦を支援する組織的な能力が欠けているということでした。侵攻する部隊に必要な物資を供給する能力がありませんでしたし、戦闘支援(砲兵隊による援護射撃、近接航空支援)能力も不十分でした。ロジスティックスが脆弱な上に、投入戦力を4分割し、戦線を拡大させたことは、ロシア軍の大失敗でした。ロシア軍には十分なトラックはありませんでした。ですから、ロシアはウクライナに侵攻したら、即時にロジスティクスを構築して、補給体制を確立する必要があったのです。しかし、できませんでした。そのため、ロシア軍は、ロシアとベラルーシにある既存のロジスティクスに依存するしかありませんでした。それでは戦闘を維持できるはずがありません。ロシア軍は、第一次世界大戦の時のような補給方法を検討していたのかもしれません。当時は鉄道で全ての支援物資を前線に移送していました。
しかし、鉄道は侵攻先のウクライナ国内にはありません。ウクライナ国内で鉄道による補給は不可能でした。そのため、ロシア軍は輸送をすべてトラックで行っていました。元々、ロシア軍には十分な数のトラックはありませんでした。その上、ウクライナ軍によってかなりのトラックが攻撃され破壊され、使用不能になっていました。そのため、前線部隊の戦闘維持に必要な物資を送り続ける能力がありませんでした。