本日翻訳し紹介するのはthe New Yorker のSeptemOctober 18, 2021 Issueに掲載の記事です。タイトルは”It’s Time to Stop Talking About “Generations””(「世代」って良く使われるけど、意味あるの?)です。「世代」という語にのついての記事です。
サブタイトルは、”From boomers to zoomers, the concept gets social history all wrong.”(団塊世代~Z世代まで、これまで散々「世代」という言葉が使われてきましたが、世代という概念を使うことで社会学的に誤った分析が助長されています。)です。Louis Menandによる記事です。
さて、この記事は、「世代」という語の意味について論じられています。最近では、Z世代というのが有名です。Z世代というと、1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代です。それで、デジタルネイティブで云々ということが言われたりします。私の娘もこの世代ですので、Z世代ってどんな特徴があるのかということが気になったりします。
結論からいいますと、この記事は、ℤ世代はどういう特徴があるとか、ミレニアル世代はこうだというようなことは一切書かれていません。この記事の主旨は、Z世代とかX世代とかいう言葉が生み出されて、それぞれの世代はどういう特徴があるということが論じられていたりしているが、そうした主張は全く根拠が無く、無駄なことだということのようです。
まず、世代というのは、15年くらいで期間を区切って、その間に生まれて人を〇〇世代と呼びます。Z世代ですと、1990年~2012年に生まれた人です。でも、ちょっと考えたら分かりますが、1990年生まれの人はZ世代ですが、絶対に同じ世代の2012年生まれの人より、前の世代の1989年生まれの人との共通点の方が多いに決まっています。ですので、〇〇世代は☓☓☓といったステレオタイプというのは、全く根拠が無く、単に市場調査会社が騒いでいるだけとのことです。また、人の思考や信条や行動様式等々は、同じ世代に属しているか否かよりも、その人の家族とか学校とか職場とかといった要因から大きな影響を受けることが明らかになっています。
この記事でなるほどと思ったことが1つありました。それはZ世代に対する期待が高いが、それは根拠の無いことだということです。よくZ世代は、生まれた時からネットやSNSに囲まれており、デジタルネイティブで、それを使いこなしていると言われます。また、多様性、協調性を重視し、環境に対する意識も高く、倫理意識も高いと言われています。それで、Z世代の意見に耳を傾ければ社会は良い方向に変えることが出来るなどと言われています。
たしかにZ世代はデジタルネイティブで上の年代と違って新しいテクノロジーに精通しています。しかし、その上の世代も、そのまた上の世代の人たちも、生まれてきた当時は、その当時の最新のテクノロジーに囲まれていたわけで、Z世代はたまたまそれがデジタルテクノロジーだったというだけのことなのです。また、Z世代が多様性を重視し云々で倫理観が高いと言われていますが、おそらく、現時点でアンケートしたら他の世代でも同じように多様性や環境等を重視しているはずで、Z世代だけが特に倫理観が高いわけではないことが分かると思います。
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