本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker の Web版にのみ掲載のMatt Altによる寄稿記事で、英題は”Japan’s Olympic-Sized Problem”(東京オリンピックは開催すべきか?)です。政府の新型コロナ対応の不手際から、オリンピックの中止の機運が高まっていることを報じています。
Matt Altは特派員で日本に関する投稿記事が多いようですので、日本に駐在しているのではないかと思われます。この記事の主な内容は、東京オリンピックに反対する声が高まっていることです。Alt氏は、さっさとオリンピックは中止すべきだと考えているようです。確かに、現在の感染状況をみていると、感染拡大に歯止めがかからない状態ですから、そう考えるのが妥当だと思います。この英文を訳して初めて知ったのですが、インドの感染状況が悲惨であるという報道をよく見るようになりましたが、人口当たりの死亡率で見れば、インドより大阪の方が高いのです。
この記事を訳していてAlt氏が誤っているなと思った点が1つあります。それは、宝島社が5月11日に読売新聞等に出した広告に言及している部分です。Alt氏は、広告の図案は国旗(日の丸)をパロディー化したもので、日の丸の赤い部分を不気味なコロナウイルスに置き換えたものだと理解していました。しかし、おそらく、宝島社にそのような意図はないと思います。赤いコロナウイルスが真ん中に置かれているのはタケヤリを持っている少女らとの全体のバランスを考慮してのことだと思われます。もし、宝島社が日の丸をパロッったのだとしたら、国旗をあからさまに侮辱する行為ですから大騒ぎになっていたはずで、極右団体が宝島本社に押し寄せて抗議活動をする事態になったんではないでしょうか。
また、この記事で面白いと思ったのは、SFアニメ「アキラ」でも2020年の東京オリンピックが開催されることが描かれていたという点です。1980年代のアニメ「アキラ」に、東京五輪が2020年に開催されることはもちろん、伝染病が蔓延することや、日本がWHOから問題視されることなど、今の日本の状況が描かれているとしか思えない描写がいくつもあるのです。私の記憶では、「アキラ」は崩壊したビル群の向こうに新たなネオ東京が浮び上がって幕を閉じたと思います。現実の世界でも、東京がコロナの混乱を潜り抜けて、より感染症に耐性のある都市に生まれ変わることを期待したいです。
では、詳細は和訳全文をお読みください。以下に和訳全文を掲載します。
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