知ってた?ジョンソン・エンド・ジョンソンのアメリカでの酷い仕打ち!同社製品で卵巣癌になった者を切り捨て!

 本日翻訳して紹介するのはthe New YorkerSeptember 19, 2022 Issue に掲載のCasey Cepの記事で、タイトルは”Johnson & Johnson and a New War on Consumer Protection”(J&J社の消費者保護をおろそかにするべく奮戦中)です。

 Casey Cepによる記事です。彼女はスタッフライターです。著書も数冊出していますし、年に数本の記事が当誌に掲載されています。オックスフォードの大学院をローズ奨学金を得て出ていますので、相当賢いと思います。スニペットは、”The company has spent billions on cases about one of its most popular products. As its executives try a brazen new legal strategy to stop the litigation, corporate America takes note.”(同社は、最も人気のある製品の 1 つに関する訴訟に数十億ドルを費やしてきました。経営陣は訴訟を阻止するために厚かましい新たな法的戦略を試みています。その行く末を多くの企業が注目しています。)となっていました。

 この記事は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の悪だくみについて記したものです。同社は、超優良企業です。株式投資をしている人なら良くご存知と思いますが、いわゆる配当貴族銘柄です。ダウ平均株価が大きく下げても、ここはそれほど下げません。非常にディフェンシブな株です。財務状況も非常に良く、信用格付はアメリカ政府よりも高くなっています。また、有名な製品やブランドをたくさん抱えています。ベビーシャンプーやバンドエイドは超有名ですし、ネオスポリン、ロゲイン、OBタンポン、タイレノール、イモディウム、モトリン、ジルテック、リステリン、ニコレット、アベノローション、ニュートロジーナも結構有名です。また、外科手術で使うカテーテルやスティントなども製造販売しています。

 ジョンソン・エンド・ジョンソン社と言えば、エクセレントカンパニーの1つです。誰もが同社の製品を使ったことがあるし、良いイメージを持っているのではないでしょうか。そんな会社が、悪だくみをしていました。信じられないかもしれません。同社のベビーパウダー等の原料に発癌性物質が含まれていました。タルクです。同社のタルクには、微量ですが繊維状アスベストが付随していたのです。この件に関して、悪だくみを主に2つ働いていました。(タルクは、ベビーパウダーの中の粒粒で、肌をさらさらに保ちます。地球上に割と広く存在していて、タルク鉱山で採取されます。)

 同社の悪だくみの1つは、タルクに発癌性がある可能性を認識して以降も長年に渡って製品への使用を続けてきたことです。タルクは肌をサラサラに保つ効能があるわけですが、重大なリスクがあることが分かった時点で直ぐに製品への使用を止めれたはずです。というのは、代替品としてコーンスターチが使えたからです。コーンスターチは豊富に存在し、十分に安価でした。リスク認識後に使用を止めなかったことは、殺人と一緒です。実際、現在でもアメリカでは平均すると毎日1人の女性が同社のタルクが使われていた製品のタルクが卵巣に吸収されたことが原因と見られる卵巣癌で亡くなっているのです。また、リスクがあると確実に分かった後の行動も信じられないものです。中国やインドやインドネシアなどで、タルクを使った製品を売り切れるまで販売し続けていたのです。

 もう1つは、同社の製品を使用したことで卵巣癌や中皮腫になった者からの訴訟を受け付けないようにしたことです。しかもそのやり方が姑息すぎます。簡単に説明します。同社は、子会社を設立しました。その子会社がジョンソン・エンド・ジョンソンを吸収しました。直ぐにその子会社を有限責任会社に転換し、破産法申請をします。その子会社がタルク関連の責務を全部引き継ぐ形になるわけですが、破産させることで、被害者は裁判をすることが出来なくなってしまったのです。審理中の裁判も全て止まってしまいました。新しくジョンソン・エンド・ジョンソン・コンシューマー社が設立され、旧社の莫大な資産等だけを引き継いで、何食わぬ顔をして事業を続けているのです。

 まあ、私が思うに、アメリカの裁判は陪審員制であることが多く、非常に馬鹿げた判決がしばしば出ていることも問題だと思います。例えば、マクドナルドで提供されたコーヒーが熱すぎたため火傷したという訴訟があって、賠償金70万ドル(当時のレートで約7,000万円)を支払うよう命じられました。これ、企業からすると、やってられません。ジョンソン・エンド・ジョンソンとしたら、賠償金として支払うべきものは支払いたいが、馬鹿げた陪審員裁判で裁かれるのは割に合わないと考えているのかもしれません。また、アメリカの裁判では、集団訴訟に加わっている人をよく調べると、全く被害を受けていない人が賠償金がもらえるかもしれないので結構加わっているのです(30%くらいと推測されている)。

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