ネットリンチ!コロナ感染者を苦しめるのはウイルスだけではない

 本日はコロナ感染者に対するネットリンチに関する記事の和訳を投稿します。the New Yorker September 28, 2020に掲載、D. T. Max記者による記事です。英題は、”The Public-Shaming Pandemic”(コロナ禍で加速するネットリンチ)です。

先日木村花さん侮辱容疑の男が書類送検されたというニュースがありましたが、そういえば半年ほど前にネットリンチに関する記事があったことを思い出しましたので和訳してみました。今回和訳した記事は、日本の事例は出てきません。ベトナム、ポーランド、米国等の事例が出てきます。悲しいことにネットリンチが理由で、解雇されたり、自殺する事例も出てきます。最終的には不幸な結末にならなかった事例も出てきます(最終章のインドの事例)。インターネットが普及する前の、個人を辱め吊るし上げる事例も出てきます。悲しいかな、誰かを非難し過度に攻撃して追い詰めるという事象は無くならないのかもしれないと思いました。そうであるなら、残念ながら法律で規制するしかないのかもしれません。
 
 非常に長い文章ですので、最後に和訳全文を掲載しますが、先に要旨のみ記します。要旨は次のとおりです。

要旨

  1. ネットリンチが過熱する際、嫉妬が燃料になる場合がある。
    頻繁に海外旅行や高級料理店に行くとか高級ブランドを身に着けていたりとか。
  2. public shaming(つるし上げ)自体は昔からある。ネット社会以前には別の形で。
    おそらく、有史以来ずっと発生し続けている。残念ながら無くならないと思われる。
  3. ネットリンチは正しい情報に基づいている場合もあれば、そうでないこともある。
  4. ネットリンチは盛り上がりやすく、冷めやすい。
    2018年米国#CecilTheLion騒動は、今や誰も覚えていない。騒動は2週間もすれば終わる。
  5. ネットリンチを擁護する人もいる。
    #MeToo運動、#BlackLivesMatter運動では、皆で連帯して自分たちより力のある者に対して抵抗することができた。

その他知ったこと

  1. コメンターとコメンテーターという語の違い。
    聞きなれないコメンターという語はコメンテーターは全く別の語でした。
    コメンテーター(commentator)は、(討論会や放送番組の中で)説明や意見などをのべる人。解説者。
    コメンターは、ブログの進化に伴って出現した人種のことを指す。広義には、ブログにコメントを寄せる人、一般的には、自分ではブログを開設せず、もっぱら他所のブログにコメントする人のことを指す。
  2. 黒人を示す英語「black」の表記が「Black」に変わった。
    黒人を指す英語の「ブラック」について、1文字目を小文字のbではなく、大文字のBとする動きが米メディアで広がっている。the New Yorker誌でも既にそうなっています。白人警官が黒人男性のジョージ・フロイドさんを死なせた事件を機に米国で広がる人種差別を見直す動きの一環で、黒人を歴史や文化を共有するグループと認め、敬意を示す意味があるようです。ちなみには白人の表記はwhiteのままです。

以上が要旨です。では、以下に和訳全文を掲載します。