オンライン賭博の闇! スポーツ賭博合法化は、スポーツを悪い方向に変容する?

3.スポーツを賭博対象と認識し、純粋に観戦を楽しむことに価値を感じない者が増える

 アメリカのスポーツのあらゆるレベルにおいて、プレーヤーが金儲けの道具とみなされ、ジョンタイ・ポーターのような違法賭博を疑われるプレーヤーが続出するような状況が今後 2 年間続いたらどうなるのだろうか?先週の木曜日( 3 月 21 日)、私はベネチアンホテルのウイリアムヒル( William Hill )のキオスク端末の前でヤフースポーツ賭博( Yahoo Sportsbook )でちょっと遊んだ。その時に気づいたのだが、大学生のプレーヤーに関するプロップベット(個々のプレーヤーのスタッツ等を予想する賭博)ができるようになっていた。弱小大学のプレーヤーに関して賭けをすることもでき、それほど優秀でないプレーヤーも賭けの対象になっている。彼らは一銭も貰っていないのに、キオスク端末上には大々的に彼らの名前や画像が踊っている。彼らの肖像権が蔑ろにされている。少なくとも、NCAA の幹部は既に問題があることを認識している。水曜日( 3 月 27 日)に NCAA の代表が、大学生プレーヤーに対するプロップベットを禁止する措置を講じると発表した。翌日( 3 月 28 日)の夜、私はまったく味気ない NBA の試合を観戦した。実にくだらないゲームだった。両チームは、来季のドラフトの際の順位を優利にすることが目的で、必死に負けようとしていた。コート上にいた選手の何人かは、中堅法律事務所に幹部として入って初年度に貰える年俸と同等のサラリーを受け取る部分契約を結んでいた。それなりの金額ではあるが、彼らがその小切手を再び受け取ることは無いだろう。

 今後、スポーツ賭博がさらに普及するにつれて、ますます多くのスキャンダルがあるだろう。そして、これまで経験したことがないような出来事も起こるだろう。スポーツを報じるメディアは賭博会社の巨大な資金力に屈する形となり、さまざまなニュース番組や討論番組に賭博コーナーが設けられるだろう。多くのジャーナリストがスキャンダラスな事件を追い続けるだろうが、私自身がスポーツを報じるメディアで働いていた経験からすると、せっかくの特ダネ記事が棚上げされたり、特ダネ記事を書いた記者が他部署に配置転換されたりするケースが頻発するだろう。真実を明るみにするのを避けたいとか、そんな記事は売れないということだけが理由ではない。賭博に関する犯罪のニュースに続いて賭博アプリ運営企業数社の CM が流れる気まずさをを避けたいことも理由である。また、そんなニュースの後に、その日の最も注目すべきプロップベットに関する 3 分間解説コーナーを流す気まずさも避けたいのである。しかし、スポーツ賭博に関するスキャンダルに蓋をすることはできない。ソーシャルメディア上には無数の素人探偵がいて、ザプルーダー( Zapruder:ケネディ暗殺の一部始終を 8 ミリカメラに収めていた)のような人物も無数にいて、彼らは真実を暴く動画を投稿し続けるだろう。彼らも時には事実を見誤るかもしれないが、やましいことをした者を彼らは決して見逃さないだろう。♦

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