プーチンはモスクワのテロを悲しんでいない?むしろウクライナ攻撃の大義名分をでっち上げれるので喜んでいる!

 本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に 3 月 24 日に投稿された Joshua Yaffa のコラムでタイトルは” How Will Putin Respond to the Terrorist Attack in Moscow? ”(プーチンはモスクワのテロにどう対応するか)です。

 スニペットは、” The Russian President has a long history of spinning lapses in security for his own political gain. ”(プーチン大統領は、安全保障上の失策を自らの政治的利益に転じてきた長い歴史がある)となっていました。Joshua Yaffa はスタッフライターではありません。ロシア関連の記事をしばしば寄稿しています。

 さて、今回翻訳した記事は 3 月 22 日にモスクワのコンサート会場で発生したテロに関するものでした。既に報道されているとおり、アメリカの諜報機関が事前に ISIS の関連組織がモスクワ近辺でテロを計画していることを察知していました。それで、慣例に則りロシアにも情報共有していました。しかし、ロシアは十分な対処をせず、テロを未然に防ぐことができませんでした。大失態です。

 なぜ、ロシアが適切に対処してテロを防げなかったのか?理由はいくつもあるわけですが最大の理由は、プーチンやロシアの治安当局に国民の生命を守らなければならないという認識が全く無いということにあります。考えられないことですが、事実です。実際、プーチン政権はコンサートを楽しんでいる市民が大勢亡くなっても何ら悲しんでいません。心配しているのは、テロを防げなかったことにより、政権への批判が強まるのではないかということだけです。でも、メディア統制を十分にしているから、批判の声は大きくなっていません。今のところは。

 ロシアという国は凄い。2004 年のベスラン学校占拠テロでは 300 人以上の死者が出たのに、報道では 100 人とされていました。バレる嘘を平気でつきます。バレても堂々としています。バレても訂正しません。やろうと思ってもなかなかできるものではありません。これができる国は、地球上に 3 つしかありません。黒帯のところと、熊のプーさんのところと、誕生日に颯爽と白馬にまたがる北の刈り上げのところです。

 おそらくロシアは、GDP 比で治安維持に最も費用をかけている国の 1 つです。が、その費用は国民を守るために費やされているわけではないのです。では、ロシアの莫大な治安維持費用は何のために使われているのか。現在の独裁体制の維持のために使われているのです。具体的には、ロシアは少数民族の弾圧、政権批判をするものの監視、検閲、拘束、留置などです。兎にも角にも独裁体制の維持こそが最優先事項なのです。

 ところで、今回のモスクワのテロを、プーチンはウクライナが関与していると主張しています。しかし、ISIS が犯行声明を出しているわけで、かなり無理があります。まあ、傍から見ると無理に思えても、プーチンは別に気にしていないようです。何で無理やりウクライナの関与していると主張しているのか。ウクライナがテロ国家であるというレッテルを貼り、ウクライナを侵攻する大義名分にしたいようです。おそらく、プーチンは大義名分が出来たことで、さらに激しくウクライナを攻め立てるでしょう。また、大義名分を掲げてロシア国民に徴兵に応じるよう訴えるでしょう。

 プーチンでも、大義名分が無いと大っぴらにウクライナを攻撃するのが憚られるようです。それで無理矢理に大義名分をこしらえたのだと思うのですが、そんなこと気にしていたんかいっ!と突っ込みたくなります。プーチンがそれなりに体裁を気にしていたことは驚きですが、今さら繕いようがないことに気づかないことに驚かされます。側近の誰かが教えてやれよと思うのですが、独裁者の周りにはそんな奴は誰もいないようです。いや、いたのだが、粛清されたのかもしれません。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。