リモートワークは自宅以外がお勧め!カフェだと集中できるよね!なぜ自宅でのリモートワークは効率悪いのか?

Cultural Comment

What if Remote Work Didn’t Mean Working from Home?
リモートワークは自宅でも他の場所でも出来ます。自宅以外でのリモートワークするのってどうよ?

We need to separate our jobs and where we live.
自宅でリモートワークすると家事のことが気になり気が散る。

By Cal Newport  May 21, 2021

スタインベックら有名な作家は家では執筆しなかった。真剣に書こうとしていたが故に、彼らは家では集中できないことを知っていた。

1960年代後半、作家のピーター・ベンチリーは妻のウェンディとともに、ニューヨーク市近郊で2人で住むための家を探していました。ニュージャージー州プリンストン市で探していましたが、高くて買えそうもなかったので、プリンストン市から西に8マイル(13キロ)離れたペニントンという小さな町に住むことにしました。その地でベンチリーは、1作目となる小説の執筆に取り掛かり、ビーチタウンを恐怖に陥れるホオジロザメのセンセーショナルな物語を書き上げました。私が子供の頃に住んでいた家は、ベンチリー夫妻が購入した家の目と鼻の先にあり、同じ通りに面してました。小説「ジョーズ」の舞台となった町とペニントンの町には共通点が沢山あると思っていました。ベンチリー夫妻の購入した家は、針葉樹の垣根に囲まれた広い敷地に建つ改装した古い邸宅でした。私は子供の頃、自宅の屋根裏の自室で宿題をしながら、ベンチリーも通りの向こうの芝生を私と同じように見ながら数々の傑作を完成させたのだと思ったりしました。

 最近知ったのですが、実はベンチリーが小説「ジョーズ」を書き上げた場所は、ペニントンにある牧歌的で居心地良さそうな自宅ではなかったのです。先月の当誌の記事でジョン・マクフィー記者が書いていたとおり、ベンチリーは暖房機器工場の屋根裏の部屋を借りてそこで執筆していました。地元の歴史保存会が調査して詳細が分かったのですが、その暖房機器工場はペニントンのメインストリートの北端にあるブルックサイド・アベニューにあったペニントン・ファーネスサプライ社でした。以前、彼の妻ウェンディ・ベンチリーが当時のことを回想して屋根裏はとても騒々しかったと言っていました。ベンチリーは屋根裏の真ん中あたりに机を置いて小説と向き合っていました。工場の機械がバンバンと音を立てて騒々しかったのですが、彼は気が散ることなく創作に集中していました。

 ベンチリー以外にも沢山の作家が魅力的な自宅ではなく、客観的に見たらもっと条件の悪いちょっと離れた場所で創作に励んできました。マヤ・アンジェロウもそうした中の1人でした。彼女はホテルの部屋を借りて書いていました。ホテルのスタッフに壁からすべての絵や飾りを撤去させて、1日1回ゴミ箱の中身を回収する以外は部屋に入らないように依頼していました。彼女は毎日朝6時半にホテルに行きました。持ち物は聖書と黄色い用箋とシェリー酒だけでした。ホテルの部屋に机は必要ありませんでした。というのは、彼女はベッドに寝そべって書いていたからです。彼女はジョージ・プリンプトン(文芸誌編集長)にインタビューされて、その習慣のことを話したことがありますが、ベットで寝そべって肘を付きながら書くので肘の皮膚が硬くなってタコのようになっていました。また、デビッド・マッカローは、マーサズ・ヴィンヤード島(マサチューセッツ州)のウェスト・ティズベリーにある白亜の御殿に住んでいて、そこには立派で設備の整った書斎もあったのですが、彼は裏庭にある小屋で執筆することを好みました。また、極端な例としてジョン・スタインベックを挙げることができます。彼はキャリアの後半には、夏はサグハーバー(ロングアイランド)の2エーカー(約80アール)の土地に建てた家で過ごしました(この冬、その土地が1790万ドルで売り出されていました)が、その家の書斎で書き物をするより、フィッシングボートで沖に出て書くことを好みました。彼は担当の編集者エリザベス・オーティスに語っていたのですが、フィシングボート上では、手に画板を載せてその上にノートを置いて揺れながら書いていたです。

 プロの作家は、ある意味、在宅勤務する知識労働者と言えます。現在、新型コロナの収束が近づきつつありますが、在宅勤務はより一般的になりつつあります。上述した作家たちは、家で仕事をすることを非常に嫌がっていたわけですが、そのことは家で仕事をすることが必ずしも好ましいことでは無いということを示唆しています。