本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker の February 8, 2021 Issueに掲載の記事です。the New Yorkerのモスクワの特派員Joshua Yaffaによる記事です。
英題は、”The Sputnik V Vaccine and Russia’s Race to Immunity”(スプートニクVワクチンとロシアのワクチン開発競争)です。
ロシアは世界に先駆けて新型コロナワクチンの接種を開始しました。はたして、そのワクチンは本当に有効性が高いのでしょうか?リスクは高くないのか?ということについての記事です。
非常に長い文章ですので、最後に和訳全文を掲載しますが、要旨は次のとおりです。
要旨
- ロシアは世界に先駆け20年12月5日から大規模ワクチン接種開始
ちなみに米国は12月14日開始
ロシアで新型コロナ感染者が最初に出たのは3月。
4月にはワクチンのプロトタイプ完成、研究所員を対象に接種開始。
承認時点では、承認に必要なフェーズ3治験(第3相試験)未実施。 - 上1に対し、ロシアワクチンは拙速すぎるのでは?との疑念が広がる。
ロシアのワクチンはベクターワクチン。mRNAワクチンよりは古い技術。
ロシアのガマレヤ研究所は過去にエボラのベクターワクチン開発の実績有り
その時の知見を活かして素早いワクチン開発に成功。
(ファイザー、モデルナはmRNAワクチン、過去に実用化の実績無し) - ロシアのワクチンは20ドルと安く、途上国で人気
(アストラゼネカは30~40ドル、ファイザーとモデルナはそれよりも高い) - 結論、大規模接種後の状況を見ると、ロシアのワクチン“スプートニクV”は、西側諸国の開発したワクチンと同程度の有効性とリスクであると推測される(著者joshua yaffaも接種したが、全く問題なかった)。西側諸国が問題視していたのは、ワクチン自体ではなく、その承認プロセスやデータの不透明さについて。例えば、ロシアは当初は有効性を90%と発表していたのに、ファイザーが90%と発表すると92%に修正し、モデルナが95%と発表すると95%に修正した。プーチン政権から圧力があって、ロシアのワクチンの優秀さを誇示し、国威掲揚を図る狙いで数値が修正されたものと推測される。ワクチン開発という純粋な医学的な成果を政治利用しようとするクレムリンの企てにより、結果として、疑惑の目を持たれることなったのです。そもそも、五輪での組織的なドーピングを行ったり、野党指導者ナワリヌイに毒を盛ったり、信じられないことばかりする国です。いまさら、何をやってもあまり信頼されることはありません。自業自得と言えます。