ハト派の FRB 議長パウエルが利下げ示唆に転じた理由?クリスマスが近いからチキンになったわけじゃない!

 本日翻訳して紹介するのは、12 月 15 日に New Yorker の Web 版に掲載された John Cassidy のコラムでタイトルは、”The Federal Reserve Is Trying to Catch Up with Falling Inflation”(FRB のインフレ率低下への対処)です。

 コラムを書いた John Cassidy はスタッフライターです。アメリカの経済、政治、文化等についての記事をたくさん書いています。今回訳したコラムのスニペットは、With price increases having greatly moderated, Jay Powell and his colleagues are trying to stick a “soft landing” for the economy.(物価上昇が大幅に緩和されたため、パウエル議長ら FRB の理事たちはアメリカ経済をソフトランディングさせるために必死である。)となっています。内容は、先週の FRB の金融政策決定会見後にパウエル議長が来年の利下げを示唆したことについてでした。

 パウエル議長は、12 月の頭には利下げは検討することも時期尚早だと主張していました。それが、12 月 13 日 、14 日の金融政策決定会合後の記者会見で利下げを来年になったら実施することを示唆しました。見事な政策転換です。いやはや、日銀の植田総裁がチャレンジングと発言したのは一段と気を引き締めてというつもりで言ったと弁明したのと同様に、前の発言は何だったのでしょうか。中央銀行は市場との対話にもっと気を使ってもらいたいところです。

 ところで、パウエル議長はどうして急に考えを変えたのでしょうか。クリスマスが近づいているので、タカ派がチキンになったわけではありません。(すいません、これは、ストックボイスのゲストの武部力也さんが言及していたことのパクリです。あまりにも言い得て妙でしたので引用してしまいました)おそらく、一番大きい理由は、想定以上に急速にインフレが収束しつつあることです。インフレ率が低下するのに、名目金利を下げない場合、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いて計算)は上昇してしまいます。そうすると、達成が見えつつあるアメリカ経済のソフトランディングの可能性がしぼんでしまいます。ですので、FRB は急いで金利を下げなければならないのです。

 実は、利下げをしたくなった理由がもう 1 つあります。それは、政治日程です。2024 年には大統領選があります。パウエル議長は、FRB の政策決定に政治の関与は一切ないと繰り返し主張しています。まあ、そうなのでしょう。 しかし、大統領選の年には金利を下げて相場を支えるということがここのところ毎回発生しています。パウエル議長も人間ですから、圧力をかけられるくらいなら先に利下げしておこうと考えたのかもしれません。ということで、2024 年は金利低下が想定され、大相場になりそうです。(あくまでも投資は自己責任で!)

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。