15.コンスタントはオーガニック認証制度の緩さを利用した
ブラッド・マイヤーが捜査に着手してから1年以上経過した2015年の秋のことでしたが、といってもたまに穀物の取引履歴をチェックする程度でしたが、QAI社はオーガニック・ランド・マネジメント社のオーガニック認証を剥奪しました。会社のオーガニック認証が無くなってしまったことに対応して、コンスタントは、ウィスコンシン州のMOSA(以下、モサ社)から個人的にオーガニック認証を取得しました。(モザ社の認証責任者のスティーブ・ウォーカーは、コンスタントからQAI社による認証が停止されたことについては何も聞かされていなかったそうです。)
その年、コンスタントは、アーカンソー州フォレスト・シティの連邦刑務所の敷地内でオーガニック大豆を大量に栽培しました。そこで得られる利益は刑務所と折半することで合意していました。大豆の栽培を手伝うためにデイブ・ブロックという者が雇われました。ブロックは、雇われてすぐに自分の仕事に戸惑いを感じました。というのは、コンスタントには全くオーガニック大豆を育てる気がないように思われたからです。コンスタントは、オーガニックでない大豆の種を蒔いていましたし、肥料も使いたい放題使われていました。
連邦刑務所の中で詐欺的なオーガニック農業を営むということは、コンスタントには並々ならぬリスク志向が備わっていたことを示してます。ブロックは時々、コンスタントが連邦刑務所内での業務を請け負ったのは、将来自分が行くところだから慣れておこうと考えていたのではないかと思ったこともありました。ブロックによれば、コンスタントは、カンザスシティのすぐ北にあるレブンワース刑務所でもオーガニック農業を営む計画を進めていたのですが、途中で頓挫したそうです(チリコシ―で軽犯罪を犯した者が送られる刑務所が、レブンワース刑務所です)。
コンスタントがアーカンソー州フォレスト・シティの刑務所の敷地内でオーガニック農業をした際に、コンスタントと刑務所との契約締結を手伝った刑務作業専門家のスティーブ・スミスは、コンスタントの詐欺的行為を比較的寛大に受け止めています。彼は、コンスタントが刑務所と利益を折半する契約を反故にしたらしいと聞いた日のことを思い出して、笑っていました。彼は言いました、「私は、あの人が本当に好きでしたよ。彼は、本当に信心深いクリスチャンのように見えました。ランディ・コンスタントは良い奴でしたよ。」と。