8.南極の研究基地の刃傷沙汰は、その後に起こることを暗示していた
南極大陸での刺傷事件を報じたニューヨーク・ポスト紙の記事の見出しは、「he tried to ice’ his pal(彼は仲間を氷漬けにしようとした」というものでした。しばらくの間、その記事の切り抜きが、我が家の冷蔵庫の扉の左上の方に他の切り抜きに混じって、マグネットで留められていました。私は毎日のようにそれを見ていたので、知らず知らずのうちにその事件についていろいろと考えを巡らせていました。しばらくして、その切り抜きが留めてあった場所に別の切り抜きを留めたのですが、私は自分の机の上に「he tried to ice’ his pal(彼は仲間を 氷漬 けにしようとした)」という見出しの切り抜きを置いておくことにしました。私は、その記事を時々読み返しては、その事件の真相を深く理解しようと試みていました。真相は1つではなく、複数あるのかもしれません。最近になって私が思ったのは、ニューヨーク・ポスト紙が報じたのは、南極大陸の人里離れた研究基地の窮屈な空間で起こった事件なのですが、この事件が示唆していることも認識しておくべきだということです。閉じた空間の影響で孤独感が募って事件が引き起こされたという教訓が得られたわけですが、その研究基地はロシア所有のものであるという点も見逃せません。この事件に世界中の多くの人たちが関心を示していたことは、新型コロナのような疫病が発生して閉じ籠る生活を余儀なくされるということを予期していたのだと思います。また、同時にロシアが発狂して、何か暴力的で常軌を逸したことをしでかすことも察知していたのだと思います。ロシアは今、隣国に対して戦争犯罪とも言える行為を行っており、その結末は誰にも分からない状況です。新型コロナが蔓延して以降、ロシアのプーチン大統領は一度に数週間にわたって姿を消すことがありましたし、モスクワ郊外の自宅からほとんど外出しなくなりました。そうして孤立感が彼を変えてしまって、戦闘モードに入ってしまったのかもしれません。南極のロシアの窮屈な研究基地で刺傷事件が起きたということは、ロシアがキャビン・フィーバーによって狂ったような行動を起こす前触れだったのかもしれません。
3月5日にアメリカ国務省は、「すべてのアメリカ人は直ちにロシアを離れるべきである。」との注意喚起をしました。私の息子は、6年8カ月に渡ってロシアに住んで働いていました。彼の生活は全てロシアにありました。ロシアに恋人も仕事も良い友人もいたのです。彼らの多くは、ロシアという国に恐怖を感じ、国外への脱出を企てているか、既に脱出していました。新型コロナのパンデミックの間に、私の息子はインターネットで注文した何百冊もの本を読みました。出国する準備をしている際に、彼は自分の本のほぼ全てをモスクワの外国文学を置いている図書館に寄贈することに決めました。彼はリストを作ってその図書館に送って、どの本が欲しいかを尋ねてみました。図書館から返答があり、チャールズ・ディケンズのデビッド・コパフィールドは沢山あるので不要で、1921年にオクラホマ州で起きた通称「タルサ人種虐殺事件」に関する本も要らないということでした。彼はそれら以外の本を箱詰めし、タクシーを呼んで図書館に運びました。ロシア人はとても読書が好きです。ですので、本の結末をバラしたロシア人が、別のロシア人に刺されるという事件が起きたとしても、不思議なことではないのかもしれません。♦
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