オミクロン株!現状詳細不明!ウイルスの3能力は高いのか?感染力は超高い!では、重症化率と免疫突破力は?

2.変異株が出現しようがしまいが、やるべきことは変わらない

 多くの国の政治家が素早く対処しています。WHOが新たな変異株が発生したと公表した直後に、各国は迅速に渡航禁止令を出しました。日本、イスラエル、モロッコはすべての外国人の入国を禁止しました。米国、英国、オーストラリア、および多くの欧州諸国は、南アフリカと近隣諸国からの流入を制限しています。新型コロナからの回復途上にあった景気をがさらに悪化する可能性があります。南アフリカで新しい変異株が出現しましたが、検出された直後に迅速にWHOに報告し公表しており、ここまでは非常に素晴らしい対処で称賛に値します。しかし、今後は感染拡大防止と感染経路の追跡等に取り組まなければならないのですが、容易なことではありません。南アフリカの観光大臣のリンディウェ・シスルは言いました、「残念ながら、南アフリカの新型コロナ変異種を追跡したり見つけ出す能力は高くありません。保健衛生に携わる人材も物質も不足しています。それでも、オミクロン株を早期に発見して素早くWHOに報告できました。それなのに、せっかく報告したのに、結果として予告も無く各国から渡航禁止令を出されてしまったんです。観光客が来なくなり経済に壊滅的な影響が出るでしょう。」と。他の国で新型コロナの変異種が発生した際にも南アフリカと同様に早期に報告してもらうようにするためには、感染拡大防止に苦しんでいる南アフリカを援助し支援することが重要になります。

 各国の渡航禁止令は一時的にオミクロン株の感染拡大を遅らせるかもしれませんが、既に多くの国にオミクロン株は入り込んで拡がっています。オミクロン株は、ポルトガル、イスラエル、カナダ、オーストラリアを含む少なくとも19か国で検出されています。ほぼ確実に、既に米国でも感染者がいるはずです。米国立アレルギー感染症研究所の所長アンソニー・ファウチは金曜日(11月26日)にタイムズ誌に語りました、「オミクロン株が米国内に侵入するのを水際で防ぐのはおそらく不可能でしょう。どのようにして感染拡大の速度を緩めるのかということが焦点になります。」と。感染拡大を防ぐためには、渡航禁止以外にも厳しい措置が必要でしょう。包括的な対策が必要で、検査体制の構築やゲノム解析施設の拡充が必要でしょう。また、抗ウイルス薬を早期に承認して行き渡らせることも必要でしょう。また、ワクチン接種率のさらなる向上と3回目接種の促進も重要です。現在使われている新型コロナ用のワクチンがこれまでの全ての変異種に対して有効であったように、オミクロン株に対しても有効である可能性があります。しかしながら、オミクロン株に対しては有効性が大幅に低下する可能性もあります。その場合に備えて、ファイザー社とモデルナ社はオミクロン株専用のワクチンの開発を進めています。FDA米食品医薬品局は、オミクロン株のワクチン開発の際には承認のための治験は最小限にとどめると示唆しています。安全性と免疫力が高まるかのみを確認するとしています。それにより、早期の市場投入が為されるでしょう。ワクチンが承認さえされれば、その後のサプライチェーンの構築から接種まではこれまでの経験が生きますからスムーズにことが運ぶでしょう。

 オミクロン株の出現は、人類とウイルスとの戦いの新たな章の幕開けと言えなくもありません。新しい変異種が出現し、何とか感染拡大を抑え込んでいた状態がひっくり返されてしまいました。しかし、別の観点から見ると、ほとんど変わっていないと言えなくもありません。オミクロン株については依然として未知のことが多いのですが、それの発見前にも今後にも当てはまる事実が2つだけあります。1つ目の事実は、新型コロナウイルスの変異株すべてに当てはまることですが、オミクロン株が与える影響は集団によって異なるということです。他の変異株と同様だと推測されるのですが、おそらく、免疫獲得率が高い国では、オミクロン株の感染が猛威を振るうことは無いでしょう。そうした国では、デルタ株の感染拡大を封じ込めたように、オミクロン株も封じ込めるでしょう。これは、高齢者や重症化リスクが高い者へワクチン接種率が高い国が該当します。一方、低所得国(新型コロナワクチンを1回でも接種した人の割合が僅か6%)では、オミクロン株やデルタ株の感染者が壊滅的なほど急増する可能性があります。(米国は低所得国ではないのですが、州によってはワクチン接種率が低い州があります。米国全体では、2回接種を済ませていない者の割合は40%にもなります。)

 2つ目の事実は、新型コロナの完全な収束を目指すためには、世界中の国で対策を実施しなければならないということです。それまで新型コロナの主要な変異株がいくつも出現しました。アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、そして今回のオミクロン株です。それらが出現した国は、いずれも新型コロナウイルスが激しく蔓延していました。そうした状態を改善し将来に新たな変異株の出現する可能性を低くするためにすべきことは、出来る限り多くの人に、出来る限り素早くワクチンを接種することです。その努力が米国内で為されるだけでなく、全世界で為されなければなりません。月曜日(11月29日)の記者会見で、バイデン大統領は、オミクロン株について「心配の種ではあるが、パニックの種ではない」と言及しました。正にバイデン大統領が言ったとおりです。あとは実行するのみです。

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