本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に 2 月 24 日に投稿された John Cassidy のコラムで、タイトルは” The White House Is Gaslighting Americans About Donald Trump’s Tariffs “となっています。
タイトルを訳すと「トランプ政権は関税施策についてアメリカ人をガスライティングしている」という意味です。スニペットは、” The Administration insists that its aggressive trade policies won’t hurt U.S. consumers, but data from Trump’s first term suggest otherwise. “(トランプ政権は、その積極的な関税政策はアメリカの消費者に損害を与えないと主張しているが、トランプ政権第 1 期のデータはそうではないことを示している)となっていました。
さて、ガスライティングなる語はご存じでしょうか。心理的虐待の一種です。被害者に些細な嫌がらせ行為をしたり、故意に誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気、もしくは自身の認識を疑うよう仕向ける手法のことです( Wikipedia より抜粋)。バーグマンの主演映画「ガス灯」で彼女が演じるポーラという女性が孤立させられるのですが、それにちなんで作られた語です。
トランプ政権が関税引上に関して嘘を吐きまくっています。嘘の主張は、関税を引き上げても海外のベンダーが販売数量が落ち込むのを嫌ってコストを吸収( eat )して課税前納入価格を下げるので、消費者の負担する額は変わらないというものです。世界一の経済大国に限ってはそうしたことが起こるとことはないと主張しています。それが真実であれば、夢のような美味しい話です。関税で税収が増えるが、物価は上がらないわけです。関税だけで必要な税収を賄えるという主張もしているようで、将来的にはアメリカ国民は税金を払う必要がなくなります。その分の可処分所得が増えるので、消費が増え景気がべらぼうに良くなるでしょう。
しかし、それは事実ではありません。トランプ第1次政権時のデータを調べたエコノミストが(たくさん)がいるのですが、関税を課された中国企業は、関税賦課前の価格を全く下げていないのです。
おそらく、トランプ政権はこうした事実を認識しているはずです。それなのに嘘をまき散らしています。何が目的なのでしょうか。そういった嘘を有権者に信じ込ませることのメリットは何なのでしょうか。全く分かりません。どこかの企業に利益がもたらされるわけでもありませんし、トランプの私腹が肥えるわけでもありません。アメリカ経済のメリットを考えると、特定の産業や雇用が保護される可能性がありますが、デメリットの方が多いでしょう。
トランプにとっての唯一のメリットは、選挙公約に掲げたことを愚直に推進しているとアピールできることくらいです。実際、移民追放も愚直に推進しています。ある意味、選挙時に掲げた公約を果たそうとする姿勢は賞賛されるべきかもしれません。どこかの国のリンゴほっぺの首相のように、予算を通すために与党内や他党と妥協する以外に何もしていないよりはマシです。大統領制と議院内閣制の国の違いかもしれませんが、あの人の掲げていた公約って何なんですかね。既に思い出せる人はいないと思いますが、元々選挙や総裁選に勝つためだけに掲げていただけだと思うと悲しくなります。
ここは、トランプの側近連中が、次の大統領選に出れるわけではないのだから、手綱を緩めて楽にやりましょうよと進言するべきところです。エコノミストでなくてもわかることですが、関税はデメリットの方が大きいのです。AI に聞けば、喜んで教えてくれます(奴は政治に関することを聞くと口をつぐむくせに、経済のことを聞くと嬉々として答える)。
ちなみに Gemini に聞いた関税を課すことのデメリットは、5つです。①消費者への負担増②報復関税のリスク③サプライチェーンの混乱④経済成長の減速⑤インフレの加速です。また、関税の影響は、対象となる製品や貿易相手国の反応、世界経済の状況など、さまざまな要因によって変化するとのことです。すでに私は莫大な被害を受けています。今日も相場が爆下がりで大損ですわ。一昨日購入して昨日損切りした大量のソフトバンク G の信用売玉が惜しかったなぁー。おかげで年始からの利益がほぼ吹っ飛びました(´;ω;`)。
これで日銀が利上げにこだわるようだと、いよいよ 1990 年の 2 月の再来です。誰も覚えていないと思うのですが、バブルが弾けたのは 1990 年のことですが、年初からしばらくは押し目買いのチャンス、あるいは買い場到来と考えて買い増している投資家も多かったのです(個人も機関も)。大きく下げたのは 2 月中旬以降でした。期末を迎える機関が株価の先安を見越して売り初めて、売りが売りを呼ぶ状況に陥りました。お願いだから、日銀は物価が上昇しデフレ脱却が確認できたから利上げするという判断を見直して欲しい。物価上昇は米価上昇と円安による輸入品価格の上昇によるところが大きく、ディマンドプルではないのです。今さら言っても仕方ないことですが、バブルの時も財政、金融の両面で支えればあんなに傷は大きくなかったと思うのだが・・・
話がそれましたが、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。
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