本日翻訳して紹介するのは、12 月 14 日に the New Yorker の Web 版にのみ掲載された Dhruv Khullar によるコラムで、タイトルは、”The Year of Ozempic”(オゼンピックの年)です。Dhruv Khullar は現役の医師で医療関連の記事をしばしば寄稿しています。
スニペットは、” We may look back on new weight-loss drugs as some of the greatest advances in the annals of chronic disease ”(減量薬が開発されたことは、医学史上の快挙の 1 つとして認識されるべきである。人類と慢性疾患との戦いにおける偉大な 1 歩である。)となっています。コラムの内容は、2023 年を振り返ったもので、糖尿病治療薬であり減量薬でもあるオゼンピック( Ozempic )についてのものでした。この薬を開発したノボノルディスク社の株価は爆騰しました。株式時価総額は、あっという間に欧州一になりました。
さて、オゼンピックとはどのような薬なのでしょうか。GLP-1 受容体作動薬で、元々は糖尿病治療薬です。 血糖値の上昇に応じて血糖値を下げる効果のあるホルモンであるインスリンが分泌されるのを促進するホルモンであるインクレチンの一種です。体重を減らす効果も確認されています。減量薬としての需要が旺盛のようです。薬理は良く分かっていないのですが、食欲を抑える働きがあるようです。アメリカ人の成人の 4 分の 3 以上が過体重とされていますから、アメリカでは爆売れしているようです。
オゼンピックは、夢のような薬なのですが、負の側面もいくつかあります。次の通りです。
- この減量薬は誰にでも効くわけではない。
ハイレスポンダー(特定の薬に対する感応度が高い者)とローレスポンダー(低い者)がいる。 - 副作用として消化器系に症状が出ることがある。
副作用は吐き気、便秘、下痢等である。副作用のために投与を中止すると体重は元に戻る。 - 体重が減ると同時に、特に高齢者においては骨密度と筋肉量が低下が顕著である。
元々、減量すること自体にそうしたリスクがある。 - 価格が高すぎる。
アメリカでは、肥満の比率が最も高い貧困者層に属する者たちのほとんどがこの薬の恩恵を受けられない状況である。
さて、日本ではアメリカほど太っている人の割合が高くないのでオゼンピック等の減量薬はそれほど話題になっていません。ですので、多少の品薄感はあるものの、投与が必要な糖尿病患者がオゼンピックを入手できないというような事態は発生していないようです。今後、経口薬も開発されるでしょう。そうすれば、もっとたくさんの人がこれらの薬の恩恵を受けることとなるでしょう。糖尿病患者にとっては福音となるかもしれません。やはり、経口投与はペン型注射より楽ですから。糖尿病の方がオゼンピック等を投与された場合、必要な医療行為ですから基本的に保険でカバーされます。では、太っている者が減量薬として服用した場合、保険でカバーされるのでしょうか。高価な薬で服用期間が長い(基本的に死ぬまで)ので、保険でカバーすると健康保険制度自体が崩壊してしまうような気がします。どこまで保険でカバーするかということは、非常に難しい問題だと思いました。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。