実録 ウイグル族の最後! 中国の弾圧はウイグル族を根絶するまで続く

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker April 12, 2021 Issueに 掲載された記事です。Raffi Khatchadourianによる寄稿記事です。ウイグル族に対する過酷な弾圧が描かれてます。これが事実なら(事実だと思いますが)、間違いなくgenocideです。

 英題は、”Surviving the Crackdown in Xinjiang”(実録 ウイグル人収容所からの生還者)です。本日和訳した記事は、1人のウイグル人女性の実録です。不当に拘束されて1年以上再教育のためと称して収容所で拘留された後にようやく解放されました。その女性からRaffi Khatchadourianが話を聞いて書いています。英文で22ページありますので非常に長いです。あまり誰も気にしていませんが、ウイグルは非常におかしな状況になっています。重要な記事だと思ったので急いで訳しました。おそらく、この記事はピューリッツァー賞を受賞すると思います。
 
 詳細は和訳全文をお読みください。非常に長い文章ですので、要旨の後に和訳全文を掲載する形にします。要旨は次のとおりです。

要約

  1. アナー・サービトは新疆ウイグル自治区出身の女性。カナダで職を得て住んでいた。仕事で世界の様々な国に行っていた。ウイグル人とはいえ、裕福な家庭の出で、上海で教育を受け北京語も流暢に操る。
  2. カザフスタンに移住した父が亡くなり、手続きや親戚への挨拶の為、生家が残るウイグルに入った。そこから出国する際に入出国管理で足止めをくらった。その後、再教育収容所へ拘留される。
  3. 当時、新疆ウイグル自治区は陳全国が党委員会書記に就任し弾圧を強化していた。
  4. サービトが拘束されたのは、”危険な国”への渡航歴(仕事や余暇で米国、タイ等)があったため、要注意人物と判断されたため。
  5. サービトの拘束が引き延ばされた理由は、彼女の流暢な北京語にあった。共産党の高官の視察が予定されており、その際には拘留者が流暢な北京語で懺悔をして”中国人”に改変されたことを示す必要があった。サービトは”中国人”を上手く演じるためだけに拘留を引き延ばされていた。
  6. 衛星写真等から自治区内で大規模な収容所が沢山建設され、大量拘束されていることが判明している。また、ウイグル人女性の多くは体内に避妊具を埋め込まれている。中国では産児制限が緩められ出生率が高くなっているが、ウイグル人だけは1年で出生率が半分になった。
  7. 中国政府は、ウイグル人を根絶することが目標と思われる。過去に他民族に征服された経験が何度もあり、根絶しないと報復されると恐れている。
  8. まさしく、ジェノサイド。オスマン帝国のアルメニア人虐殺、ナチスのホロコースト以上の規模である。

その他知ったこと

  1. 陳全国の前任者、王永志は沢山の大量のウイグル人拘留者の解放を承認した。こういう人もいた。しかし、汚職と職権濫用の罪を着せられ失職し、その後一切の動静が分からなくなっている。
  2. 国際刑事裁判所(ICC)は、この弾圧の捜査要請を退けた。中国内で中国人が行った犯罪で、ICC非加盟の中国国内での行為を裁く管轄権が無いことを理由として。
  3. 世界で一番演算速度が速いスーパーコンピューターは、中国で弾圧や監視のためのシステム、IJOPプログラム用のものである。膨大な数の個人情報、画像データ、位置データ、動画を分析している。膨大なコストをかけて実装して日々駆動させて改善を続けている。

    では、以下に和訳全文を掲載します。