The Forecast Wars on Weather Twitter
Twitterの天気予報は玉石混交
Traditional meteorologists speak in potentialities and probabilities. A new type of social-media influencer takes a different approach, exaggerating possibilities and fomenting hype in the lead-up to a big storm.
伝統的な気象学者は可能性と確率について語る。しかし、ソーシャルメディアで活躍する新しいタイプのインフルエンサーは、異なるアプローチを取り、可能性を誇張し、大嵐の発生直前に誇大宣伝を行う。
By Brady Brickner-Wood January 28, 2026
先週末の冬の嵐について、どのように予想したかは人によって大きく違う。それは天気予報をどこで入手したかということに依存している。ウェザーチャンネル( the Weather Channel:アメリカの有料テレビチャンネル)や国立気象局( the National Weather Service )のウェブサイトで情報を入手した者は、自分の住むエリアに関して「積雪の危険性が高まっている( increasing threat for accumulating snow )」とか「凍結雨の可能性( possible freezing rain )」といった情報を得ていたはずである。どちらの予報も多少の不確実性があるものの十分に役立つものである。雪や雨の予測はそれほど簡単なものではない。なぜなら、長期予測モデルは日々、時には時間ごとに変化し、大嵐に至るまでに気圧、降水量、風速、気温などが常に変動するからである。だからこそ、プロの気象学者は可能性と確率という観点から物事を語り、様々なモデルにおける傾向を特定して、ある結果の蓋然性を判断しているのである。しかし、予測は断定ほど魅力的ではないし、曖昧さを残す表現は明確な表現より魅力に欠ける。そうしたことも一因であろうと推測されるが、ソーシャルメディアで嵐を煽るアカウントが増えている。「存在する主要な気象モデルを全て調べた」と、気象インフルエンサーのブレイディ・ハリス( Brady Harris )は金曜日( 1 月 23 日)に X に書き込んだ。「数字も調べた。傾向も調べた。それらはすべて、ある 1 つのことを示している」。その 1 つとは?雪である。しかも、ありふれた雪ではない。ハリスは「私たち全員が待ち望んでいた大雪」と投稿していた。
気象インフルエンサーの存在感はますます増している。彼らのアカウントは、ソーシャルメディア主導で人気を集めている気象情報提供企業のアカウントと同様、人気が高まっている。気象インフルエンサーはドラマチックな展開を得意としている。気象予報に関する資格を持つ気象学者のアカウントと比較すると、民間の気象サービスやアマチュアのストームチェイサー( storm chaser:主にアメリカで竜巻、スーパーセル、雷などの激しい気象現象を自ら追跡・観測・撮影する者)が運営するエンゲージメント重視のアカウントは、予測される気象現象の可能性を誇張しすぎる傾向がある。誇大宣伝の胡散臭さを前面に打ち出している者もいる。予報を確定した事実のように伝えるのを目にすることがある。また、可測事象の確率が限りなく 0 に近いのに蓋然性が高いように伝えている者もいる。誰でもアメリカ海洋大気庁( National Oceanic and Atmospheric Administration )のデータに自由にアクセスできる。データは、無数の連邦政府所有の気象衛星、飛行機、気象観測気球、海上ブイ、レーダーシステム、気象観測所が収集したもので、非常に有用である。民間の予報士や個人愛好家も、これを活用している。つまり、専門家と同じモデルを使用しているわけだが、気象インフルエンサーは、誇張的な表現を用いたり、説明なしに生データを投稿したりしている。そうした行為はアメリカ気象学会( the American Meteorological Society )が出している行動指針に反するものである。BAM Weather などの有料でサービスを提供している民間気象情報企業があるエリアの予想天気図をソーシャルメディアに投稿する場合、その予想天気図はより広範な傾向や確率を示すとは限らない。わずか数時間後に実行したシミュレーションで予測シナリオが消えてしまう可能性もある。個々の予想天気図やデータや関連画像をソーシャルメディアに投稿すること自体に悪意や非倫理的な側面は無いが、リスクがつきまとう。たった 1 つの予想天気図が確度の高い気象予報と誤解される可能性がある。さらに懸念されるのは、それが確実に起こると誤って解釈される可能性があることである。ソーシャルメディアをスクロールしていて、ロスコ( Rothko:抽象表現主義の代表的な画家のマーク・ロスコ)の絵画のような天気図で大規模な冬の嵐の警告が出たら、多くの者が注目するだろう。
BAM Weather は、いわゆる”天気予報 Twitter 界“では重鎮的な存在である。同社は、たくさんの天気図やグラフやモデルデータを作成している。大嵐の前には、それらがソーシャルメディアで拡散され、結果として不安を煽るサイクルに寄与する形となることもある。多くの気象インフルエンサーが、大嵐の予測に関して大げさな発言や予測を行う際に、これらのグラフやデータを引用する。ときどきモデルデータが不正確であるとか偏っていたりすると批判する気象インフルエンサーもいる。先週、週末に嵐が強まるとの予報の確度が高まる中で、BAM Weather は最新の嵐の進路を示唆する 3 つのモデル解析結果を投稿した。「たった今、ECMWF (欧州中期予報センター)より最新データが到着。再び北西方向へ進む」。予報図を見る限りでは、テネシー州北部はすべて紫やピンクや青色に覆われており、大雪を予感せざるを得ない。しかし、南部はすべて真っ白で、1 インチも積もらないことが示されている。サウスカロライナ州を拠点とする気象インフルエンサー、ミッチ・ウエスト( Mitch West )は、こうした選択的な予想天気図に憤慨し、X ブログに「 BAM は出鱈目な投稿を止めなければならない。BAM はある意味で私の同業者であるが、先方の予測が正しい時もあれば、私の予測が正しいこともある。週末の嵐の予測に関して、どちらが正しいかは現時点ではわからない。サウスカロライナ州南部の天候に限っては私の方が正しい分析と予測ができると信じている」と投稿した。ストームチェイサーであるウエストにとって、同州南部に降る雪は非常に珍しいものであり、神聖な贈り物である。彼の分析では、嵐が週末に南部全体に降雪をもたらしそうであった。ウエストは多くの気象予報データを収集し分析したことを公言し、南東部全域が「長期間の冬の嵐( long duration winter storm )」に襲われると予想すると公言していた。ところがそこに BAM が全く違う推測結果を示す予想天気図を投稿し、ウエストのナラティブに疑義を投げかける推論を公表した。ウエストは、明日には新たな予想天気図を示すと約束し、分析を精緻に行うことで南部に雪が降る見込みを示せるだろうと述べた。
こうした天気予報ツイッター界隈における派閥争いは、プロスポーツの結果予測における争いを彷彿とさせるものである。天気と同様、単なるファンとプロのアナリストの両方が膨大な量のデータと高度な指標を自由に使えるにもかかわらず、スポーツイベントの結果や選手のパフォーマンスを予測する確実な方法はない。しかし、スポーツメディアのエコシステムでは予測だけに注目が集まりつつある。予測への執着は、スポーツ賭博が合法となっている現在ではますます膨れ上がりつつある。予測番組、ポッドキャスト、試合前の分析で人気があるのは、アナウンサーや元プレーヤーが登場するものが多い。彼らは、予測不可能な出来事を確固たる自信を持って予測している。ネット上では、スポーツの結果に関する予測に関して熱い意見が無数にあるし、突飛な仮説も多い。結果が出るまでは絶え間ない議論が続いている。さまざまな予測がある中で、誰もが勝者と敗者、英雄と悪役、成功と失敗を見極めようとしている。それがイベント前の興奮を生み出すし、視聴の際の緊迫感を高める。結果を正しく予測したアナリストがいれば、その人物は一目置かれる。その分野において他の誰よりも分析能力に優れていると見なされる。もし予測を完全に外したアナリストがいたとしても、彼らはその誤りを様々な予期せぬ力のせいにするだけである。スポーツコメンテーターの中には、データを深く分析し、シミュレーションを実行し、予想結果の確率を算出してから予想を下す者もいる。こうした精緻なデータマイニングが成果を上げることもある。だが、そうでないこともある。多くの人気スポーツ評論家は、精緻な予測分析をデータオタクの不毛な戯言と切り捨てている。結局のところ、天候についてもスポーツイベントの結果についても、プロアマ問わず、膨大なデータを収集してシミュレーションしても正しい予想を下す可能性は結構な割合で運に左右されるのです。
南部の人が雪を切望することは、ニューヨーク・ジェッツのファンがスーパーボウル出場を熱望するのと同じである。決して不可能ではないがゆえに、ついつい期待してしまうのである。 ネットでの天気予報に熱心な人々の中には、BAM の単一モデルによる予報を連続で出す手法に激しく感情を揺さぶられる者も少なからずいる。特にあり得ないような天候を見てみたいと切望する者はそうである。専門家でない人や扇情的な人々にとって、天気予報は不安や恐れ、期待や希望に付け入る手段となる。これから何が起こると思うかを語って不安を煽る絶好の場となる。気象インフルエンサーのマックス・ベロシティ( Max Velocity )が中西部で「木が爆発する( EXPLODING TREES )」可能性について投稿すると、パニックが起こり、少し炎上騒ぎとなった。多くの人がその警告が冗談なのか、本心から皆の安心を願って警告したものなのか判断がつかなかった。ネット上の天気予報で最も評判の高いライアン・ホール( Ryan Hal )でさえ、YouTube チャンネルを数人の気象学者で運営し、300 万人以上の登録者数を誇るわけだが、視聴者の関心を煽るために、派手なグラフィックや人を惑わすような挑発的な内容を選ぶことが多い。彼の動画のタイトルの 1 つには「今年の降雪量は凄いぞ!」という見出しが付いている。「今回の嵐は極めて凶暴」との文字もある。 言うまでもなく、極端な気象状況の予測とスポーツイベントの予測では異なる点が多い。嵐や自然災害を予測することは、ビーフ・オブ・ブレイディーズ・ボウル( Beef ‘O’ Brady’s Bowl:フロリダ州セントピーターズバーグのトロピカーナ・フィールドで毎年開催されていた、NCAAディビジョンIの大学アメリカンフットボールのボウルゲーム。冠スポンサーが付いている)の勝者を予想するよりもはるかに難しい。しかし、気象インフルエンサーたちは、自分たちの予測が当たるか否かを重視している。まぐれでも当たれば大騒ぎである。日曜( 1 月 25 日)の夜から月曜にかけて、BAM の X フィードには、そのアカウントの予報がほぼ正確であったことを称賛するリポストで溢れかえった。「テネシー州クリスティアナからこんにちは。あなたの予測通り、こちらには氷が降るだろう。きっと大きな氷が降るだろう」とあるユーザーは書き、別のユーザーは「 BAM はたいてい間違っているよりも正しいことが多い」と指摘している。まだ疑念を抱いている人のために、BAM は賢明なフォロワーの書き込みの 1 つをリポストした。「弱虫は無視( Ignore the weenies )」。一方、ミッチ・ウエスト( Mitch West )は月曜( 1 月 26 日)の夜、サウスカロライナ州の彼の地域にはまだ雪が降っておらず、大々的に予測を外していた。 「この嵐に関する私の個人的な予測は完全に外れていた」と彼は X で認めた。「もしこれを吹き飛ばしたら、本当にひどいことになる」。今では、ウエストはディープサウス( Deep South:サウスカロライナ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ州を指す)では今シーズン、雪はあまり降らないだろうと悟っている。彼は、まるで啓示のような言葉にたどり着いた。「ただ話すだけでは飽きて、実際に体験したくなる時が来る( There comes a time where you get tired of just talking about it & want to experience it. )」。今週、天気予報ツイッターで誰かが言った言葉の中で、最も真実に近い言葉だろう。 ♦
以上
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