8.5%UP!3月消費者物価指数40年ぶり高水準!インフレ軟着陸に向けたマクロ経済政策の舵取りは難化した?

QUESTION 3 :

 あなたは、先日のコラムで、バイデン大統領は、新型コロナにも適切に対応し、雇用者数を大きく増やし、インフレにも適切に対応しているが、そうした成果が国民にあまり伝わっていないと指摘していました。ガソリン、食料品、その他もろもろの価格が突然高くなってしまった状況下において、バイデン大統領は新型コロナのパンデミック禍でも上手く経済運営できていると国民にアピールすることは可能でしょうか?

ANSWER 3 :

 経済的な観点から見ると、バイデン大統領は不幸にも正当に評価されていないように見えます。例えば、雇用者数を見ると分かるのですが、バイデン大統領は就任後1年ちょっとで、過去のどの大統領が生み出したよりも多くの雇用を創出しました。失業率は6.4%だったのですが3.6%に下がりました。歴史的に見ても、これほど大きく数値が改善したことは稀です。ですので、バイデン大統領の政治的手腕は評価されて当然なのです。しかし、そのことが、あまり国民には伝わっていません。というのは、インフレ率が急上昇している状況ですから、誰もそのこと以外に関心が向かないのです。報道機関のせいもあるかもしれませんが、世間はインフレにしか注目していないのです。物価の上昇は、ほぼすべての人が日常生活で実感できますので、それゆえ非常に注目が集まってしまうのです。ガソリン価格の上昇などは最たる例ですが、ちょっとでも値上がりしようものなら、誰もが不満を口にします。また、暖房費も上がっていますし、過去12ヶ月で食料品価格も約9%上昇していますので、誰もがインフレが急激に進んでいると実感しているのです。

 このような状況は、バイデン政権にとって非常に厄介なものです。もし、バイデン政権が、インフレ率が非常に上昇しているが、米国経済は失業率が過去最低水準である等の良い面も多いと主張したらどうなるでしょうか?おそらく、「寝言は寝て言え!」と非難されるだけでしょう。現在はそうした状況ですので、バイデン政権はインフレ問題を改善することに集中的に取り組んでいます。バイデン大統領は、港湾施設での荷物の滞留を解消しようとしたり、戦略的石油備蓄からの石油放出量を増やしたりしてきました。また、火曜日(4/12)には、エタノール混合ガソリン(通常のガソリンより少し安い)の夏季販売を解禁し,ガソリン価格を抑制すると発表したりとさまざまなことを行っています。それらの施策によってバイデン大統領の支持率が上がるか否かは見通せません。しかし、最近の世論調査の数値を見ると、支持率は下げ止まっているように見えます。バイデン政権は、下げ止まっていることでちょっと安心しているかもしれません。また、8.5%のインフレ率がピークであることを願っているでしょう。

以上