中国悲報!ウイグル問題を国連報告書は「人道に対する罪」と指摘するも、ジェノサイドとは認定せず!嘘でしょ?

Q.9

私の理解では、中国は漢民族とは違う形でウイグル族の文化や宗教観を消そうとしているように思えます?

 まったくその通りだと思います。ちょっと説明したいと思います。ジェノサイド条約の原案は1940年代半ばから後半にかけて検討されていたのですが、当初案ではジェノサイドと認定するための範囲は現在の定義よりもっと広かったのです。2つのカテゴリーが現在の定義では削除されてしまっています。1つは政治的集団を対象とするジェノサイドで、もう一つは文化浄化(cultural genocide:特定の文化的背景をもつ民族・宗教・思想集団が、異なる文化圏や解釈に副わない文化財・文化遺産を破壊あるいは文化的活動を阻害する行為を指し、文化的権利や文化的自由を侵害する人権蹂躙)です。ジェノサイド条約の制定を検討している過程で、この2つのカテゴリーが削除されてしまったのです。ジェノサイドの定義が国際法の中でこれほどまでに狭められたのは、まことに遺憾なことだと思います。しかし、そうしてさまざまな検討が為された結果として、とにかく文化浄化はジェノサイドの定義からは除外されてしまったのです。

A.報告書等で、中国の行っている取り組みについて、かなり詳細に多くのことが説明されているわけですが、ウイグル族やその他の民族等の文化的または宗教的独自性を根絶する試みであると認定されています。中国が、そうした取り組みを推し進めているのは、ウイグル族等の独自の文化や独自の宗教が分離主義者の破壊的な行動や中国の国家プロジェクトへの抵抗を生み出しかねないと考えているからだと思われます。しかし、中国のそうした取り組みは、ジェノサイド条約の対象外なのです。そこが悩みの種なのです。文化浄化が行われたかどうかという視点で見ると、たしかに新疆ウイグル自治区やチベット等での中国政府の取り組みは、該当すると思います。多くの学者が、ジェノサイドや人道に対する罪の定義は改定すべきであると主張しています。そうしなければ、人道に対する罪を正しく判定したり、ジェノサイドであると正しく認定することができなくなるでしょう。