習近平はどうやってゼロコロナ政策見直しを決めたのか?熟考したの?いや、実は単なる思い付きで決めたよう・・・

2.ゼロコロナ政策の見直しは突然決まったものなのか否か?

Q.あなたは、ゼロコロナ政策の見直しについてはかなりの議論が行われたようで、習近平が勝手に決めたわけではないと推測していました。どうしてそのように考えたのでしょうか?

A.最高レベルの政治局員の間で、たとえば中国共産党中央政治局常務委員会(Politburo Standing Committee)で議論があったかどうかは分かりません。しかし、ゼロコロナ政策の緩和がこれほど早く実現したわけですから、誰かが疫学専門家の提案を強力に支持して、政治局員レベルに強く推したに違いありません。抗議デモが活発化してゼロコロナ政策が見直されたわけですが、それを見直すことが理にかなっていること、緩和しても劇的に感染者数が増えないことを説明する資料は元々存在していたのだと思います。そうでなければ、抗議デモ活発化を受けて、ゼロコロナ政策がこれほど素早く見直されることは無かったでしょう。

 私が推測するに、中国で新型コロナ対策を担当している孫春蘭副首相(スン・チュンラン:Sun Chunlan)らも、その説明資料をかなり読み込んでいたのではないでしょうか。そもそも、彼女がゼロコロナ政策を緩和することに賛成していたかどうかは明らかになっていません。私の推測では、おそらく、彼女は反対していたと思います。共産党中央政治局常務委員会の中で、彼女以外の誰かがゼロコロナ政策の緩和を強く主張したのだと推測します。噂によれば、その人物は、習近平が就任して以降ずっと中央書記処書記を務めている王滬寧(ワン・フニン:Wang Huning)ではないかと言われています。彼が新型コロナ政策の緩和をすべきだと主張したのだと推測されています。しかし、これはあくまで噂に過ぎません。