習近平はどうやってゼロコロナ政策見直しを決めたのか?熟考したの?いや、実は単なる思い付きで決めたよう・・・

5.ゼロコロナ政策見直後、事態が悪化することはないのか?

Q.習近平率いる中国共産党は、新型コロナ対応では世界の他の国よりも優れているという評判を築いていました。しかし、今後、事態が悪化する可能性もあるわけですが、その場合に中国共産党はどのような評価をされることとなるのでしょうか?また、保健衛生の面でどのような課題に直面することになるのでしょうか?

A.中国では、膨大な人口を抱えているにもかかわらず、明らかに集中治療用の病床数が不足しています。北京や上海のような巨大都市でさえ、それが問題となっています。高齢化が進む3級都市や4級都市では、さらに悲惨な状況になっています。

 香港でいくつかの医療施設が限界に達しているのを目の当たりにしました。それで、中には屋外にベッドを設置せざるを得なくなった医療施設もありました。しかし、中国では同じことはできません。というのは、もうじき冬になるわけですから、そんなことは出来なくなります。3月までは寒くてベッドを外に設置することなど考えられません。しかし、1月か2月には感染者が爆発的に増えるかもしれないのです。では、病床が足りないような事態になったら、重症者はどこに運ばれるのでしょうか?そうなってしまった場合には、隔離施設を仮設の病院にするくらいしか対処法は無いような気がします。

 病床を確保できたとしても、入院患者たちの世話をする医師や看護士の確保がままならないような気もします。それについて考えると、私は悲観的にならざるを得ません。過去3年間、中国は、他の国々よりも上手く新型コロナに対処し感染を封じ込めてきたと思います。しかし、今まさに中国で新型コロナの感染爆発が起きようとしているのです。

 中国はこれまで新型コロナに対して上手く対処してきたわけですから、今後も十分に上手く対処する可能性もあると思います。中国政府は、次のようなメッセージを発信するようになると推測します。既に少し発信しつつあるわけですが、それは、オミクロン株は感染しても症状は軽く致死率は低いということです。中国政府が言いたいのは、それが分かっているから若い世代の人たちニーズに応えるべく、雇用創出や経済成長を重視したということです。また、それが分かっているからこそ、感染の拡大を極度に恐れる高齢者が感染するリスクが増大することを許容したのです。

 習近平の心境は私にはよく分かりません。習近平がゼロコロナ政策に固執していたのは、死者が大量に出るのを恐れたからでしょう。しかし、疫学専門家たちが彼を説得して、厳格な規制を緩和しても最悪の状況には陥らないと理解させたのでしょう。しかし、もしその疫学専門家たちが間違っていると判明したら、私は彼らの考えは間違っていないと思うのですが、万が一にも感染爆発が起こり死者数が急増するような事態となれば、習近平は誰かをやり玉に上げるでしょうし、ゼロコロナ政策を緩和したのを見直すかもしれません。