本日翻訳し紹介するのはThe New YorkerのWeb版にのみ掲載のコラムで、タイトルは”A Linguistic Look at Omicron”(オミクロン変異株の言語学的考察)です。現地時間の2021年12月26日にMary Norrisが投稿したコラムです。彼女はスタッフですが度々コラムを投稿しています。
サブタイトルは、”What is this penchant for using Greek to designate disasters?”(災害や疫病などを識別するための名前でギリシャ語が使われるのは何故なのでしょうか?)です。
さて、このコラムで記されている内容は、新型コロナの変異株の命名規則についてです。変異株には発生した順にギリシャ語のアルファベットが順に当てられています。一番最初はα(アルファ)株で、以下β(ベータ)・・・と続き、最後が24個目のω(オメガ)です。今後も変異株が出現し続けると、いずれギリシャ語のアルファベットが枯渇する可能性もあります。また、飛ばされて使われなかったアルファベットがいくつかあります。例えば、ξ(クサイ)は発音が「シ」となり中国の習近平の名字を連想させるという政治的理由で飛ばされました。今後もそうしたことがあると枯渇するのは時間の問題かもしれません。
では、枯渇してしまった場合はどうなるのでしょうか?命名規則を決めるのはあくまでWHO(世界保健機関)ですが、Mary Norrisは2通りの可能性があると予想しています。1つは、アルファベットが最後のω(オメガ)まで使われたら、最初に戻って再度α(アルファ)から順に使って接尾辞に数値を付け加える形です。つまり、オメガ変異株の次はアルファ−1変異株となります。その形では問題が発生する可能性もあるようです。もう1つは、ω(オメガ)の次はアラビア語のアルファベットを使う形です。
でも、私が思うに、アラビア語のアルファベットは絶対に使われないと思います(そもそもこのコラムの筆者のMary Norrisは冗談で書いているのだと思います)。というのは、アラビア語を使った際には、ほとんどの人が読めないし、書けないからです。アラビア語の一番最初(英語のaに相当)の文字は”ا”(アリフ)なのですが、ほとんどの人が読めないと思います。しかも、アラビア語の文字は、1つの文字が、単独形、頭字、中字、尾字でそれぞれ表記が違うので、どれを使って良いかわからない人が多いと思います。また、字面が数値の”1”や、英語の”i”(アイ)や”l(エル)”と非常に似ています。万が一にも、アラビア語のアルファベットが使われることはないと思われますが、使われた際には混乱必至です。
さて、今回訳したコラムは、真面目な堅苦しいコラムではありません。筆者は、何となくWHO(世界保健機関)に対して斜に構えているようで、批判的な雰囲気がコラム中に漂っています。The New Yorkerを読んでいて感じるのは、日本にも国連やWHOなどの国連の関連機関に対して機能してないとして批判する人がいますが、米国ではそうした批判はもっと強いということです。おそらく、米国の人たちは、国連等に対して最大の資金を拠出しているのに米国の意見が応分に反映されないことに不満を持っているのでしょう。怒って当たり前だと思います。日本も米国に次ぐ拠出をしています。言うべきことは言って、もっと怒って良いと思います。正しい意見が通らない、正義が為されないのであれば、脱退しても良いのではないでしょうか。
話がそれてしまいましたが、私が思ったのは、新型コロナが終息して、新たな変異株の命名が必要なくなるような状況が早期に訪れて欲しいということです。オミクロン株の出現によって、新型コロナは普通の風邪になったということが判明することを願っています。
詳細は和訳全文をお読みください。以下に和訳全文を掲載します。
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