悲しきかな!食材の流行り廃りが早過ぎる!どこに行ってしまったのか 行列のできるフローズンヨーグルトは?

Daily Shouts

A Support Group for Former Trendy Foods
悲しき一発屋食材を支援する会

By Emma Soren March 3, 2023

グレープフルーツ:
皆さん、ようこそ。私のことを知らない人のために説明すると、かつて私は、朝食に最適として大いにもてはやされました。一時は、その世界の頂点にも立ちました。その後、私への熱狂は瞬く間に下火となり、私はそうした状況にうまく対処することが出来ませんでした。その後はお決まりのパターンね。ギャンブルにのめり込み、すっかり借金まみれになっちゃったわ。子供たちは何年も口をきいてくれなかったわ。誰も私の気持ちを分かろうとしないのよ。でも、ここにいるみんなは、”It Food”(一発屋食材)だった者の悲哀をわかってくれるわよね。決して不可能じゃないってことを私はみんなに伝えたいのよ。私たちは苦境を乗り越えることができるはずよ。さて、今日は誰が一番最初に話をしてくれますか?

フローズンヨーグルト:
ぜひ、私に一番最初に話をさせてくださいよ。この1週間、私も本当に大変だったんですよ。私の知り合いにはデザートがたくさんいるんですが、誰一人として上手くいってないのよ。ケーキポップなんかは瀕死の状況よ。今も生命維持装置に繋がれているのよ。ストロベリー・キウイは5150(アメリカの警察無線で使用されている隠語であり、「犯罪を犯しそうな危ない人物」を意味する)になってしまっているわ。クロナッツにいたっては、もう何ヶ月も連絡がつかない状態よ。彼らのことがとても心配だわ。でも、次は自分の番かもしれないと思うの。とても他人事じゃないわ。
※訳者注:ケーキポップ(Cake Pop)ロリポップスタイルのケーキの一種。

ブッラータ(酷いイタリア訛りで):
アローラ(Allora:イタリア語で「さて」とか「それでも」の意)、あなたにはまだ熱狂的なファンがそれなりについているわ。でも、私たち乳製品は、もっと酷い受難の時代を過ごしているのよ。自分の影響力が衰えているのを感じずにはいられないもの。人々が関心を示さなくなっているのをひしひしと感じるわ。
※訳者注:ブッラータ(burrata)はイタリア原産のフレッシュチーズ

サンドライドトマト(ニュージャージー訛り):
可愛そうに・・・。でも、どうすることもできないわよ、グレープフルーツさんっ。私だって、1990年代にはすべての人の口の中に私がいるような感じだったのよ。でも、あっという間にみんなが私に飽きちゃったのよ。本当にあっという間。滑り落ちるのは早いものよ。次の一発屋が現れて、すっかり取って代わられちゃったのよ。あー忌々しい、くそくそスティックセニョールめ!
※訳者注:サンドライトマト(sun dried tomato)は乾燥時間の大部分を太陽の下で過ごした乾燥トマト。
※訳者注:スティックセニュール(Broccolini)ブロッコリーに似た緑黄色野菜で「茎ブロッコリー」、「スティックブロッコリー」とも言う。

ブリュッセルスプラウト:
私の場合は、一番最初にファーム・トゥ・テーブルレストラン(farm-to-table restaurants:地産地消を売りにするレストラン)から注文の電話がかかってこなくなったのよ。しばらくすると、スモールプレートレストラン(small-plates restaurants:手作り料理を出すレストラン、高い)からの電話もこなくなったのよ。今ではもうどこからも電話がこない状況よ。
※訳者注:ブリュッセルスプラウト(brussels sprouts)は芽キャベツのこと。

おっとここでアイオリがやってきました。
※訳者注:アイオリ(aioli)は、カタルーニャでよく用いられるソースの一種。マヨネーズとニンニクが主成分。

アイオリ:
遅くなってごめんね。みんなのところに来る途中で道に迷ってしまったのよ。

グレープフルーツ:
いいのよ、来てくれただけで。 ブリュッセルスプラウトさんが、ちょっと嫌なことがあったって愚痴っていたところなのよ。さあ、続けましょうか。

ブリュッセルスプラウト:
ありがとう。来てくれてありがとうね。自分がトレンディになるって、怖いことよね。みんなも知ってると思うけど、いきなりハイになっちゃうよね。もともと私は嫌われ者だったの。でも、22歳の子がBuzzFeedで私のことを記事にしてくれて、何だか知らないけど急に私の世界が広がったのよ。今はどうかって?私はもう……以前の状態に戻っちゃって寂しい状態よ。ほんとに酷い話よ。私、思ったんだけど、そもそもバルサミコグレイズと出会わなければよかったんじゃないかしら。
※訳者注:バルサミコグレイズ(balsamic glaze)はバルサミコ酢と砂糖等を煮詰めたソース。

ブリュッセルスプラウトが泣き出しました。するとケールがその肩を優しく撫でました。

ケール:
私なんか、今じゃあサラダに添えられるだけよ。一時はケールチップスのブームが結構来てたんだけどね。そんなこと今では誰も覚えてないでしょ!?

フローズンヨーグルト:
私はチヤホヤされた時のことを時々思い出すことがあるのよね。アイスクリームさんには随分と嫌な思いをさせちゃったって思うことがあるわ。

グレープフルーツ:
みんな、もう過去にこだわるのはやめましょうよ。苦い思いを噛みしめることは生産的じゃないわ。前に進みましょうよ。甘美で、輝かしい気持ちになれることに集中しなきゃダメよ。どなたか、良い対処法や解決策をご存知の方はいないのかしら?

カリフラワー:
私は、自分を変えることが大切だと思うのよね。

サンドライトマト:
あらっ、カリフラワーさん、なんてことを言うの!頭おかしいんじゃない。どう頑張ったって私はトマトのままよ!あんただって変われるわけないのよ。カリフラワーはどこまで行ってもカリフラワーよ。ナスさんが言ってたでしょ、ナスがママに生きろって!カリフラワーは、ライスの代わりにはなれないのよ!

ケール:
そうよ、私だってピザ生地になりたいなんて思ったことはないわ。手羽先のふりをしたいと思ったことだって無いわよ。

カリフラワー:
黙って聞いてりゃ、おまえらはふざけるな!だいたいお前らは辛気臭いんだよ。なんか違和感あると思ってたんだけど、俺はお前らとは違うんだよ。お前ら全員腐っちまえよ!

カリフラワーが嵐のように去りました。

ベーコン:
カリフラワーさんの幸運を祈りましょう。父と子と聖霊の御名において・・・(中略)・・・、祝福はカリフラワーさんの中にある、アーメン。まだカリフラワーさんは流行り廃りの波の速さを知らないんですよ。その怖さを知らないんですよ、きっと。私なんか、誰からも愛されていたんですよ。それが、突然、民主党と沿岸部のエリート連中が、大豆をもてはやすようになったんだよ。気づいたら、あっという間さ。誰もが大豆に涎を垂らすようになってしまったんだよ。

グレープフルーツ:
申し訳ないが、ここに政治の話を持ち込むのは止めてくれませんか。ベーコンさんには、前に何度も言いましたよね。

アボガドトースト:
ちょっと良いですか。私が思うに…

フローズンヨーグルト:
黙りなさいよ!もううんざりだわ。あんたらの悩みはこれまでも散々聞いてあげたじゃん。だけど、あんたらは十分にマシな方なんだよ!?フォンデュさんを見てみなさいよ。固まり始めているわよ!

フォンデュ:
ごめん、ごめん。死んだわけじゃないから、安心して。最近ではかろうじて子供の誕生日パーティーで出番があるだけなんだけどね。そこでの出番も減りつつあるんだけどさ。

アサイー(ブラジル訛りが):
私が現在チヤホヤされているのは、スーパーフードと呼ばれていることが大きいんじゃないかしら。実はスイスではスーパーフードの栽培が盛んで、スーパーフードの多くと同じで私もスイスから来たのよ。舶来品てことを前面に打ち出したことで、エキゾチックでクールな印象を与えることができたんじゃないかしら。

ケール:
そうっすよね。最近、”Tinned Fish”ブランドの魚の缶詰が爆売れしてるって知ってた?あれだって中身は昔ながらの魚の缶詰と一緒だよな?イメージをちょっと変えただけで爆売れしたんだよ。イメージって大事だよな。

グレープフルーツ:
でも、案外、マーケティングってのも役に立たんことが多いんだけどね。マーケティングって、今となっては古い慣習でしか無いんじゃないの?あんま頼らん方が良いんじゃねって思うわ。今必要なのは、外観や外面にこだわることじゃ無いんじゃない。中身で勝負すべきよ。自分の遺伝子の優秀さを信じるべきよ。

アイオリ(後ろ向きな感じで):
すいません、私の場合は単なるソースですから。遺伝子なんか無いんですよ!材料のマヨネーズに遺伝子があるわけでもないですからね!

ベーコン:
私の場合は、焦がして匂いさえ出してもらえれば、誰もがかぶりつきたくなるわけで。それで全ての問題が解決するはずなんですけどね。なんとかグリルの上に乗っけてもらえる状況を作ってもらえませんかね。

1台の車が壁を突き破ってフォンデュにぶつかりました。フォンデュがそこらじゅうにこぼれました。その車の運転席には、酩酊状態で涙に暮れるオーツミルクが座っていました。

オーツミルク:
助けてくれっっっ!っっ!

グレープフルーツ:
オーツミルクじゃんか?なんであんたがここにいるんだよ?ここは一発屋の成れの果てがくるところだ。あんたが来るのはまだ早いぞ!誰かがあんたを脅かしているとでも……。

オートミルク(すすり泣きしながら):
やられたっ・・・、ヘンプミルクの野郎に・・・
※訳者注意:ヘンプミルク(Hemp Milk)は、ヘンプシードを水に浸して粉砕した植物性ミルク。


以上