Annals of Technology January 31, 2022 Issue
America’s Favorite Pickup Truck Goes Electric
アメリカで最も売れているピックアップトラックがEV化されます
Ford’s F-series trucks make up the best-selling vehicle line in the U.S. Can its new F-150 Lightning compete with Tesla in the E.V. market?
フォードのFシリーズのピックアップトラックは米国で最も売れている車です。さて、F-150ライトニングはEV市場でテスラ社の牙城を崩すことができるでしょうか?
By John Seabrook January 24, 2022
1.
私が12歳の時、1971年のことでしたが、ニュージャージー州南部にある私の部屋の壁には、ホットロッド雑誌から慎重にカミソリで切り取った、ドラッグカーなどの写真がびっしりと貼られていました。私のいとこのチャーリー・シーブルックと彼の愛車の” the Jersey Jimmy,”(ジャージー・ジミー号)は、米東海岸のドラッグカーのレース界ではとても有名でした。暖かい季節の土曜日には、チャーリーと彼の弟のラリーが、私の家の近くでエンジンのチューンナップをしていました。私は、しばしばそれを見に行きました。とても楽しかったのですが、特に彼らの使う独特の言葉に魅了されていました。そうした言葉は、しばしばスプリングスティーンの歌の中にも登場しています。”Born to Run”(邦題:明日なき暴走)には、“Chrome wheeled, fuel injected, and steppin’ out over the line(ホイールはクロム加工でピカピカ、燃料満タンで、道路に繰り出すんだ)”という歌詞がありました。また、”Racing in the Street”(邦題:レーシング・イン・ザ・ストリート)の中には、”Fuelie heads and a Hurst on the floor”(フューリーヘッド(キャメルバックのシリンダーヘッド)とハースト社製のシフトノブ)という歌詞がありました。その歌は、チャーリーのようなホットロッドに凝っている男たちが題材となっていました。 “hot-rod angels /Rumbling through this Promised Land”(プロミスドランドを目指して進むホッドロッドエンジェル)という歌詞も出てきました。
いとこたちは、私にパワートレインがどのようにしてホイールにトルクを伝達するのかを教えようとしました。しかし、私は車のメカニズムよりも、週末に命を削るような危険なマシンを駆ってレースに参加するカーガイのほうに興味がありました。彼らは根っからの車好きで、メカ好きでした。私は、いつか自分も大きくなったら自分の車を買っていじくり回すことを夢見て、車のプラモデルをいくつか作りました。また、プラモデルを飾った近くの壁には伝説的なレーサーたちの写真を並べて貼りました。ドラッグレースの父とされ「ビッグダディー」の愛称で親しまれたドン・ガーリッツらの写真も貼りました。他のレーサーの写真もたくさん貼ったのですが、今となっては名前は憶えていません。でも、ニックネームだけは覚えています。スネーク、マングース、空飛ぶハワイアン等でした。
その年、ニュージャージー州のイングリッシュタウンで、全米ホットロッド協会(NHLA)がサマーナショナルズという大会を開催しました。チャーリー(後年にNHLAの殿堂入りを果たした)もレースに出場しました。私は、友人たちと一緒にピットを散策することになりました。トップ・フューエル・ドラッグスターというカテゴリーのレースでは、燃料の主成分は酸素を含む揮発性の燃料であるニトロメタンでした。ピットでは、モンスターマシンを制御すべくピットクルーたちが悪戦苦闘していました。ドラッグスターのテールパイプが吐き出す熱い排気が空気に混じり、ピットクルーたちは揮発したニトロメタンのちょっとフルーティーな香りと、タイヤがホイルスピンする際の煙と焦げたような刺激臭の影響でちょっとハイになっているようでした。