3.
2020 年の春、新型コロナの影響で知識労働者の職場に混乱がもたらされ始めて数週間経った頃、私はその影響についての記事を書いた。私は自分の予測を書いた。在宅勤務への突然のシフトは、知識労働者の効率を悪化させ、彼らはデジタル・コミュニケーションの非効率性に苛立ち、満足度も低下するだろうと書いた。しかし、予測されるのは悪いことばかりではないとも書いた。私が予測した良い面は、混乱で痛みを感じることによって、長期的には知識労働者の働き方や環境がより持続可能で心地よいものに変わる可能性があるということであった。それから 3 年経ったわけだが、私の予測は半分しか当たらなかった。知識労働者を取り巻く環境はより悪くなった。この点は予測が当たったと言える。が、企業経営者のほとんどは、そうした状況に適切な対応をしなかった。その結果、多くの知識労働者が反乱を起こした。退職した者もいたし、出社するよう要請されて拒もうとした者もいたし、”静かな退職”を実践する者もいた。
しかし、たとえ今、多くの知識労働者が混乱で疲れ切った状態にあるとしても、諦めるべきではない。近年、知識労働をする個々人の行動が大きく変わっている。仕事を辞めて田舎に引っ越す者がいるし、最低限の努力でできることしかしないと公言する者もいる。しかし、知識労働者の働く環境の改善は、急に進むわけではない。順調に継続的に進むわけでもない。地道にやっていくしかない。コミュニケーションの負荷が過多である状態は 2020 年に悪化し、現在も悪化し続けている。これが一番の問題である。幸いなことに、企業や組織や幹部が大胆に変革するつもりであれば、この問題は解決可能である。未読のメールで受信フォルダが溢れかえり、無駄に長い会議が多い状況は、デジタル化が進んだ世界で活躍する知識労働者に必要なものではない。むしろ、そうした状況はパンデミック後の混乱への対処で、より悪化してしまったという側面もある。新型コロナパンデミック後の知識労働者の職場の混乱は、現在の働き方を続けることが不可能であることを示している。もしかしたら、来年は、こうした状況が変わり始める年になるかもしれない。♦
以上