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Biden’s Righteous Fury at Being Called an “Elderly Man with a Poor Memory”
「記憶力の悪い老人」呼ばわりされたバイデンの正当な怒り
Still, the White House would have been wiser to focus on the special counsel’s decision not to bring classified-documents charges against the President.
怒るのは当然とは言え、バイデン陣営は、大統領を機密文書の扱いで告訴しないという特別検察官の決定に焦点を当てるべきだった。
By John Cassidy February 9, 2024
大統領選は短距離走ではなくマラソンである。これは、政治の世界では定説となっている。ジョー・バイデンの側近連中はこのことをよく承知しているはずだが、なぜバイデンが木曜日( 2 月 8 日)の緊急会見を開くことを許可したのだろう。いささか謎である。バイデンは、機密文書取り扱いに関する特別検察官ロバート・ハー( Robert Hu )の報告書に反論を試みた。高齢不安を払拭しようと臨んだにもかかわらず、逆に粗が目立ってしまった。
確かに、ハーの報告書には、バイデンに不利な文言が含まれていた。実際、共和党はすぐその文言を引用してバイデンを口撃の材料にしていた。報告書の中で最も衝撃的だったのは、「バイデン氏は記憶力の悪い老人であり、基本的な事実を思い出すのに苦労することがあった。」という記述である。バイデンの年齢問題は今に始まったことではない。しかし、ホワイトハウスは、この報告書に激怒した。特別検察官がバイデンの起訴を断念した事実を覆い隠すために、年齢問題を利用したと捉えたからである。ハーは、トランプ政権時代にメリーランド州の連邦検事を 3 年間務めた人物である。それでも、共和党が同じであると主張しているにも関わらず、バイデンのケースは刑事訴追されたドナルド・トランプがフロリダ州の連邦裁判所で直面しているものとはまったく異なると明確に主張した。
ハーの報告書が出た後、共和党やトランプを支持するコメンテーターたちは、バイデンの年齢問題が明らかになったと主張するのに忙しかったわけだが、バイデン自身がこの問題にすぐに対処する必要は無かった。報告書が発表された直後にホワイトハウスが発表した声明の中で、彼は「この件で起訴されることはなく、この問題が全て解決したという事実を歓迎する。」と述べていた。さらに、バイデン側の弁護人はその声明に付された文書の中で、ハーを「何年も前の出来事を思い出せないという、誰にでも起こりうることを説明するのに非常に偏見と悪意に満ちた言葉を使った」として非難した。
ハーはバイデンが機密情報を適切に保護していなかった事例をいくつか挙げていた。バイデンが 2017 年に回顧録を書くために資料をゴーストライターに共有していた件などである。また、昨年 10 月に 5 時間にわたって行われた聴取についても言及し、バイデンが副大統領であった年月を覚えていない等、記憶力に問題があると主張した。しかし、法的文書なのだから、これらの内容は不必要なものだった。というか、そもそもオープンにしてはいけない内容である。
バイデンは、ハーの報告書が立件するのに十分な証拠がないと認めていることだけを強調すべきだった。ことさらに記憶力に問題がないと反論することは悪手だった。「彼が副大統領を務めていた時、及び 2022 年にバイデンのデラウェア州のガレージでアフガニスタン関連文書が発見された時、彼には副大統領および大統領として機密文書を自宅に保管する権限があった。それ故、デラウェア州の自宅での書類の所持は訴追の根拠にはならない。」との記述が報告書にある。また、「バイデンが民間人だった 2017 年 2 月にバージニア州の自宅でアフガニスタン関連文書を保管しており、回顧録を書くための機密資料があるとゴーストライターに話したこと」は刑事訴追の対象になる可能性があると指摘しているのだが、「バイデンがアフガニスタン関連の機密文書をバージニア州の自宅にまったく保管していなかったという抗弁をし、陪審が有罪判定に合理的な疑いを持つ可能性がある。私たちが調査中に回収した他の機密文書と同様、彼が副大統領であった時に、誤って、あるいは、知らないうちにデラウェア州の自宅に持ち帰った可能性がある。」と付け加えている。
バイデン陣営は、これらの点だけを強調し、次に進むべきだった。しかし、そうしなかった。ホワイトハウスの外交応接室に急遽記者団を呼び込み、バイデンは 4 分ほど話をした後、記者団からの質問を受けた。彼はハーの報告書に腹を立てていた。特に、息子のボー( Beau )がいつ死んだか覚えていないと記されたことに憤慨していた。バイデンを知る者からすると、あり得ないことで、馬鹿げた言いがかりである。ワシントン・ポスト紙によると、彼はテレプロンプターなしで話したという。メモを事前に準備していたかもしれないが、参照することは一切なかった。彼の声は力強く、明確にメッセージを伝えた。彼は言った。「私は善意の高齢者で、自分が何をやっているか、しっかり承知している。. . . 記憶力も問題ない。大統領として、この国を立て直してきた。その実績を見てほしい」。彼はハーの報告書について不満をぶちまけた。FOX ニュースのピーター・ドゥーシー( Peter Doocy )記者が特にバイデンを怒らせた。「あなたの記憶力はどうなんですか。大統領を続けられるんですか。」と言った。「君に発言させるくらい、私の記憶力は悪いんだよ。」とバイデンは皮肉で返した。
約 5 分間の質疑応答の後、バイデンは立ち去ろうとした。しかし、ガザについて大声で質問をされたので演壇に戻った。10 月 7 日のハマスのテロ攻撃に対するイスラエル軍の対応は「やり過ぎだ」と述べた。イスラエル批判を急激にエスカレートさせたことが話題となった。続けて、ガザへの人道支援に多大な貢献をしてきたことを説明した。エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ( Abdel Fattah el-Sisi )大統領をメキシコ大統領と言い間違えた。話の意図は伝わったわけで、些細なミスでしかなかったのだが、タイミングが最悪だった。トランプ陣営は言い間違いを揶揄し、大騒ぎした。彼の年齢が 11 月の大統領選で致命的なハンディキャップとなることを懸念し落胆する民主党議員も少なくなかった。
数分もしない内に、共和党議員や同党寄りの批評家がケーブルニュースやインターネットで騒ぎ出した。ニューヨーク州選出のエリス・ステファニック( Elise Stefanik )下院議員は CNN に対し、バイデンは記者会見で「大失態」を繰り広げたと指摘し、トランプは 11 月の大統領選に勝利するだろうと語った。一方、民主党は、日曜日( 2 月 4 日)に共和党のマイク・ジョンソン( Mike Johnson )下院議長がテレビのインタビューで敵国イランをイスラエルと言い間違えたことや、直近でトランプがハンガリー首相のビクトル・オルバン( Viktor Orbán )をトルコ大統領と言い間違えたことを指摘した。先月、何度もトランプはナンシー・ペロシ( Nancy Pelosi )をニッキー・ヘイリー( Nikki Haley)と言い間違えた。2021 年 1 月 6 日に支持者が議事堂を襲撃した際に警備を担当していたのも間違えてヘイリーだと言っていた。
大統領選当日には、現時点の有力候補 2 人の合計年齢は 159 歳となる(バイデン 81 歳、トランプ 78 歳)。選挙戦では常に年齢が重大な争点となる。今後数日間、バイデン陣営は総力を挙げて、バイデンの実績に再び注目が集まるように試みるだろう。決して容易なことではない。金曜日( 2 月 9 日)の朝、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙のトップページを飾ったのは、いずれも同じ内容だった。バイデンの年齢と記憶力である。
トランプ陣営は、トランプの年齢と度重なる失言は棚上げして、バイデンが大統領にふさわしくないという主張に終始している。それは、トランプの弱みに注目が集まるのを防ぐためである。とにかく、2020 年の大統領選の結果を覆そうという試みで国家反逆罪等で起訴されているという事実に耳目が集まるのは避けたいのである。最近、バイデンにとって有利と思える出来事がいくつかあった。共和党指導部が国境警備の強化に関する超党派の合意を頓挫させた。これによって、トランプは国境での混乱をすべてバイデンのせいにする機会を奪われた。下院共和党がバイデンに次男ハンターの疑惑に関連して罪を着せようとしているが成功していない。アメリカ経済は力強く成長を続けている。各種調査で消費者センチメントも改善している。また、トランプが自分の手柄だと主張し始めるほど、株式市場は絶好調である。次にバイデンが記者会見を開く時には、これらのことに焦点を当てるべきである。♦
以上
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