6.どんなに取り締まっても改革派の火は消せない
11月6日、私はニューヨークにいたのですが、Zha Jianguo(查建国)は米国の中間選挙について結果が分かったらすぐに教えてほしいと依頼してきました。翌日の夜に彼は北京の何人かの知識人と夕食に行く予定があり、その人たちも最新のニュースを欲していました。12時間後、判明したばかりの結果を彼のWeChatアカウントに転送しました。すぐに、スマホの画面にメッセージが点滅しました。送信先のアカウントはブロックされているのでメッセージは送れていないとのことでした。5度送信を繰り返したところ、検閲官によってZha Jianguo(查建国)のアカウントは閉鎖されました。
翌日、彼はBeijingZhaJianguo6という名前の新しいアカウントを開設しましたが、無駄なことでした。そのアカウントが5度シャットダウンされた後、警察から彼に連絡があり、彼は大規模なオンライングループからはブロックされていると知らされました。このことは、アリババやWeChatの所有者であるテンセントのような巨大企業を含むすべての中国企業が治安当局の指示に従っているということを示しています。知識豊富な中国のインターネットユーザーは、治安当局の検閲を突破するためのあらゆる種類の技術を採用しており、彼も検閲を回避するためのいくつかの方法を教えてもらっていました。しかし、最近状況は変わってしまい悪化しています。特定の日に起こることでしたが、検閲を回避する手順を踏んでも彼の新しい記事は不思議なことに消えてしまいました。エラーメッセージも表示されていないのにです。お互いに確認しあわない限り、送信した方も、受信した方も未送信になっていることは分からないでしょう。
それは「bei hexie(調和される)」と呼ばれているスキームです。中国の検閲の手法の1つです。中国では公安当局がそうした検閲の手法を広範囲に実施し、インターネットへの自由なアクセスを巧みに制限しています。米国では、マイク・ペンス副大統領がトランプ政権の中国政策に関して最近行った講演のことはほとんどの人が知っています。多くの人がそれは新たな冷戦の号砲だと評しました。しかし、中国ではその講演を見た人はほとんどいません。それは速やかに「bei hexie(調和される)」の手法の適用となり遮断されたからです。中国では検閲する側とされる側の競争が永遠と続いています。検閲をすり抜ける穴を見つけたとしても、次の日にはさらに強力な検閲手法が開発されその穴は塞がれます。
現在、Zha Jianguo(查建国)はすべての大規模なオンライングループから締め出されています。彼は、締め出されていない小規模なオンライングループに向けて、より低頻度でより長い文章を送ろうと考えています。受け取った人たちがそれを拡散してくれることが唯一の望みです。彼は最近の投稿で、「記事を投稿する頻度を減らさなくてはなりません。しかし、自由を求める声が全て封じ込まれることなどあり得ないと確信しています。夜明けを告げる雄鶏さえも鳴かなくなってしまったら、夜明けは決しておとずれません。」と記しました。
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