本日翻訳して紹介するのは、the New YorkerのWeb版に11月17日投稿のJohn Cassidyによるコメントで、タイトルは、”Economists Struggle to Come to Terms with “Immaculate Disinflation”(「無原罪のディスインフレ」予測は困難)です。
スタッフライターのJohn Cassidyの経済関連のコラムを翻訳しました。アメリカ経済についての話です。2023年もあと1月余りとなりました。2022年の末時点の多くのエコノミストの予測では、2023年はインフレ退治のための金利上昇によって、景気後退局面入り、雇用悪化が避けられないと予測していました。まあ、1年前のことなんか誰も覚えていないと思うのですが、私の記憶でも大方のエコノミストがそう予想していて、ほんの1部のエコノミストがソフトランディングする可能性もあると言っていました。
現時点で振り返って見ると、大方のエコノミストの予測に反して、インフレ退治に成功し、且つ、GDPも年率2%以上を達成し、失業率は引き続き低い状態が続いています。誰も予測していなかった「無原罪のディスインフレ(Immaculate Disinflation)」が達成されました。これは快挙です。こんなことは近年では無かったことです。ちなみに、無原罪のディスインフレは、経済成長を損なうことなくインフレ抑制することです(wikiのリンクを貼ろうとしましたが、wikiにはまだ無い現象です。)。
バイデン大統領の経済運営はお見事でした。まあ、インフレ率が直近で下がったのは、新型コロナによる供給サイドの不具合が解消したのと原油価格が大きく下がったおかげと言えなくもありません。そんなフォローの風が吹いたとは言え、バイデン大統領は経済運営の手腕を誇って良いと思います。しかし、アメリカでは、バイデン大統領、よくやった!流石やな!という世論が広がっているわけではありません。
なぜか?たしかにインフレ率は11月は2%代に落ちると見られているのですが、一般国民からするとこの2年間で大きく上昇した物価が高止まりしていて、物価が安くなったという実感が全く持てない状況です。むしろ、生活が苦しくなっていると感じているわけです。だから、GDPが力強く伸びていると言われても、バイデンは良くやっていると称賛する気にはなれないのです。
そうすると、老体に鞭打って頑張っているバイデンは報われることなく、来年の大統領選ではトランプの後塵を拝することになってしまうのか?ちなみに、現時点のブックメーカー(数社)の来年の大統領選の勝者のオッズを見ると、おおむねバイデン2.0倍、トランプ1.5倍となっています。あー、バイデンかわいそう過ぎる!どうやら、勝てなさそうですね。いやいや、たとえ2024年で負けても、トランプみたいに次の大統領選で勝つことを目指せば良いんですよ!2028年は、大統領の3選は無いわけで、相手はトランプじゃないんだから楽勝です。たぶん・・・
バイデンは昨日(11月20日)に81歳になったばっかりだし、きっと大丈夫。選挙のキャッチフレーズはオバマの二番煎じになりますが、”Yes I Can”なんて良いのではないでしょうか。足元がふらついた時なんかに、”Yes I Can walk alone(1人で歩けますよ)”と言って記者にアッピールしたりして欲しいものです。”walk alone”のところは状況に合わせて違う言葉にすれば、年食っていてアドリブが効かないという批判をしばしば受けていますが、それも払拭できそうです。また、日本が世界に誇る偉大なエンターテイナー安村さんの二番煎じになりますが、つまずきそうになったり、セリフを忘れて呆然とした時などに杖を見せて、”Don’t worry, I’m using a cane!(安心してください、杖もってますよ)”と訴えかけるのも良いアピールになるかもしれません。”cane”のところはバイデンが言うのではなく、聴衆が大合唱するような形を作れれば、大統領選の勝利は自ずと見えてくるでしょう(これ、冗談ですので、決して”Don’t worry, I’m using a cane!”とバイデンが言っている動画を作って上げるようなことはしないで下さい)。
では、話がそれましたが、以下に和訳全文を掲載します。
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