言った者勝ち?なぜ保安官等の公職選挙において、かくも学歴詐称や軍歴詐称が横行するのか!

4.キャラハン郡の顛末

 キャラハン郡の保安官選挙では、ルロワ・フォーリーの軍歴詐称が暴露された後、リック・ジョーワーズが共和党予備選挙で勝利して次の保安官になることは確実だと思われました。というのも民主党が候補者を出していなかったからです。その後、ジョーワーズのフォーリーとの討論会で発したコメントが話題になり始めました。Facebookで、「リック・ジョーワーズの過去を調べようぜ。たしか従軍時に被弾して負傷したって話があったよね。」と投稿する者がいました。

 そうした声に反応して、ジョワーズはDD 214(兵役を証明する書類)の画像を投稿しました。しかし、微妙にトリミングされていて、肝心な情報は枠外になっていました。ケンドリック夫妻は驚きました。夫妻は、フォーリーのことを調べることに集中していたので、ジョワーズのことは全く眼中にありませんでした。しかし、”Military Phonies”サイトはすでにジョーワーズの調査をしていました。なぜなら、”Military Phonies”サイトの代表が2人の討論会を見て両方の候補を調査するべきだと判断していたからです。

 その晩、ジョーワーズは支持者の1人の空軍の退役軍人ポール・シャムウェイと電話している際に泣き出しました。しくじってしまった、ほんの小さな嘘が大きな嘘になってしまったというようなことを言っていました。ジョーワーズは、”Military Phonies”は彼の軍歴を明らかにし、彼が空挺レンジャー部隊員でなかったことや戦闘で負傷したことなどないことが暴露されるだろうと認識していました。本当のジョーワーズは陸軍の二等兵でしたし、ドイツでは戦闘放棄をしたので名誉除隊ではありませんでした。しかし、ジョーワーズがこの期におよんでシャムウェイに説明した経歴さえも真実ではありませんでした。シャムウェイは次のように聞かされました。父親が心臓発作を起こしたのでドイツから帰還し、さらに悲運な出来事(母親の自動車事故死、妹の自殺、兄の死)が続いたのでドイツに戻れなかったのだと。その時のシャムウェイは、その話は真実に違いないと信じていました。

 ジョーワーズは声明を出し、誤解を招いたとして謝罪しました。声明の中で、どうして詐称したかという理由にも言及していました。ある人物(おそらくフォーリーを指しているのでしょう)の言動に腹が立ち頭に来てしまったのが理由だとの主張でした。キャラハン軍の有権者の中には、ジョーワーズを許そうと思っている人もいくらかいました。その人たちの1人であった保安官のジョイは、「彼は当時怒りで自分を失っていて、それでちょっと誤った判断をしてしまったのでしょう。」と言っていました。しかし、シャムウェイの妻マルシアがネットで調べた結果、庇いきれない状況であることが明確になりました。ネットを調べて分かったのは、彼の妹や兄が死んだのは、彼の除隊後10年以上経った後のことでした。また、ジョーワーズは、2007年にテイラー刑務所の職に応募した時にも空挺レンジャー部隊員であったとの嘘をついていたことも判明しました。それで、結局、ジョーワーズは選挙戦から撤退し、保安官事務所も辞めました。シャムウェイは、言いました、「結局、何から何まで全て嘘だったのだ。」と。

以上