本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker の March 15, 2021 Issueに 掲載された記事です。Peter Hesslerによる記事です。米中間の貿易摩擦下でも中国から米国への輸出が増えていることに関しての記事です。英題は、”The Rise of Made-in-China Diplomacy”(増え続ける中国製品の対米輸出)です。
Peter Hessler氏はthe New yorker誌の在中国特派員です。ですので、記事の内容は中国の対米輸出が増え続けている状況について、現地で肌で感じていることが書かれています。シンクタンクが行うような米中間の政治の問題の分析や経済学的な分析ではありませんのでご注意ください。
世界ではコロナ感染が完全に終息しておらず、景気が完全には回復していない国がほとんどです。米中間では、トランプ政権時から貿易摩擦があり、バイデンが大統領になってからも特に関係が改善されたわけでもありません。ですから、米中間の貿易額は減っているかと思いきや、中国から米国への輸出は拡大し続けています。そういった現状について中国特派員の感想が記されています。
非常に長い文章ですので、先に要旨のみ記載します。その後に和訳全文を掲載します。
要旨は次のとおりです。
- 米国アマゾンの出店者の内、半数以上が中国拠点である。
- 中国企業は、アマゾンで1つの商品を、沢山の商標名を付けて売出す。
その方が露出が増えて売上が増えると考えている。ブランド構築より個々の商品を売ることに注力している。
商品説明欄に決して「中国製」とは書かない。 - 中国の貿易関連の起業家は米国の市場をつぶさに分析している。
アマゾントレンド等を分析し動向を注視して、素早く対応する。アマゾンの商品評価欄もチェックして即座に対応している。 - 20年に景気刺激策の小切手が米国民に配られた際、アマゾンで中国の安価な製品の売り上げ急増。
銀行口座にお金がある人は小切手は預金に変えるだけで使わない。しかし、貧乏な人は小切手が届いたら即座に使う(日本でも米国でも同じようです)。そうした人たちは、安価な雑貨、食料品を買うので中国製品が売れた。 - 米中間には、情報の不均衡がある。
中国人はアメリカの市場動向を探れる(仮想プライベートネットワーク経由)が、米国人が中国の市場動向を探ることは不可能。 - 2020年、中国は自信を深めた(コロナの抑え込み、世界で唯一経済成長)。
自信を深めて大胆な行動に出ないかが心配である(台湾、ウイグル)。
その他知ったこと
- 中国ではGoogle等が当局によりブロックされていてアクセスできないと思っていたが、実は抜け穴がある。中国の起業家等は海外の動向を探る必要があるため、仮想プライベートネットワーク経由でアクセスしている。中国政府は、ビジネス上有用であることを認識しており、わざとその穴を開けたままにしている。
- 中国の旗販売業者に、トランプが選挙で敗北した際に大量の赤い旗の注文があり、「トランプ2024」等の文字を入れる指示があった。察するに、トランプ信者は相当多いと推測される。
以上、要旨。
※では、以下に和訳全文を掲載します。