本日翻訳して紹介するのはthe New Yorker の March 6, 2023 Issue 号に掲載された記事です。タイトルは”Phosphorus Saved Our Way of Life—and Now Threatens to End It”(リンは人類の繁栄を助けた。しかし今、人類の脅威となった)です。
Elizabeth Kolbert (エリザベス・コウバート)による記事です。彼女は、スタッフライターで身近な問題を取り上げていることが多いようです。環境に関する記事も多いです。昨日(3月3日)にもアメリカのカーメーカーがSUVを売りまくっていることを環境に悪いとして批判するコメントを投稿していました。さて、スニペットは、”Fertilizers filled with the nutrient boosted our ability to feed the planet. Today, they’re creating vast and growing dead zones in our lakes and seas.”(栄養素で満たされた肥料が、人類が食物を作る能力を高めました.。今日、肥料によって湖沼や海に広大なデッドゾーンが作り出されています。)となっていました。
この記事は、リンに関するものでした。リンは、漢字で書くと燐です。英語では、”phosphorus”です。ドイツ語では、”phosphor”かな?窒素、カリウムとともに肥料の三大栄養素の1つであるリンです。残念ながら、私は全くリンには詳しくありません。糞尿や落ち葉などに多く含まれているようです。さて、当記事によると、リンには2つの問題があるということです。1つは不足。1つは過剰です。
不足の問題とは、いずれリンが不足する事態になる可能性があるということです。地球上のリンの埋蔵量の70%は西サハラにあります。そこは不法にモロッコが実効支配しています。リンは農作物の育成に肥料の一部として必須なわけですが、人口が増え続けて、それを支える農作物の育成のために需要が増え続けるといずれリンの需要を満たせなくなる可能性があるかもしれません。モロッコのリンも枯渇する可能性もあります。とはいえ、これは相当先のことのように思われるので、そんなに心配する必要はないのかもしれません。
過剰の問題は、農作地に撒かれた肥料の中のリンが河川等を伝って湖沼や海洋に流れ出るという問題です。それは水生生物の栄養になりますので、水生生物が繁茂します。この流れ出た肥料の恩恵を最も受けるのが、残念ながら水辺のきれいな花を咲かせる草木ではないのです。有害な化学物質を放出する藻類やスライムなのです。それらが放出した化学物質の混ざった水を飲むと死ぬこともあるくらいで、実際、フロリダでは公共水道の飲用禁止の通達が出たこともありました。
リンの不足と過剰の問題の解決の一助となるのが糞尿を回収しリンを取り出して再利用するサイクルと確立することです。そのサイクルは、小便(pee)とリサイクリング(recycling)からなる造語でピーサイクリング(peecycling)と呼ばれています。ただ、これをスケールさせても問題の根本的な解決にはいたらないそうです。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文を御覧ください。