ガザ停戦の日は近い?いや、永遠に訪れないような気が・・・ ガザの難民キャンプに住む詩人の悲しいエッセイ!

Essay

The Agony of Waiting for a Ceasefire That Never Comes
悲しいかな、停戦はいつになるのか

When the war in Gaza started, my family fled to the Jabalia refugee camp. Then Israel started bombing the camp.
ガザでの戦争が始まったとき、私の家族はジャバリア難民キャンプに避難した。その後イスラエルはキャンプへの爆撃を開始した。

By Mosab Abu Toha November 6, 2023

1.

 10月27日(金)午後6時20分、ガザ地区のジャバリア難民キャンプ(Jabalia refugee camp)にある仮設住宅で私の子どもたちは遊んでいた。「お腹が空いてきた。」と、妻のマラム(Maram)が私にささやいた。「お菓子を食べましょうよ」。私と妻は忍び足で隣の部屋に移り、子どもたちに見られないように階段に座った。今となっては、そうした時間を非常に懐かしく感じる。一緒にいて冗談を言い合うだけのことが非常に楽しかった。

 外では、暗い空に赤い光が明滅した。稲妻のようだった。続いて、何かが家の屋根を叩く音がした。大量に何かが降り注いでいる。雨ではない。大量の瓦礫が周囲の家々の屋根に降っている。マラムは食べるのを止めた。私は外の様子を覗くために立ち上がった。が、風圧が凄くて後ずさりした。

 父は、心配そうにラジオに耳を当てていた。「アル・ジャジーラが、ガザの特派員と連絡が取れなくなったと言っている。」と、彼は言った。「ラジオが受信できなくなった」。

 私はポケットからスマホを取り出した。スマホを使うのは、3週間前にハマスがイスラエルを攻撃して以降初めてのことだ。インターネットも使えないし、通話も出来なくなっているからだ。5人の子を育てている姉のアヤ(Aya)に、爆弾が落ちてくるのが見えたら、教えて欲しいと頼まれていた。彼女は爆音が耳に届く前に耳をふさぎたいと考えていた。「耳が痛むのよ。」と、彼女は言っていた。

 私のスマホはiPhoneだった。iPhoneには緊急SOS機能(その名の通り、緊急時にSOSを発信できる通話機能)があることを思い出した。その機能を使おうとした。しかし、「携帯電話のネットワークに接続されていません」という表示が出る。使えない。iPhoneには、衝突事故検出機能があることも思い出した。衝撃や加速度の変化を事故と判断した場合に位置情報と共に緊急通報を行う機能である。残念ながら、この機能もネットワークに接続していないので使えない。私はアップル(Apple)が爆撃検出機能を開発すべきだと考えた。しかし、そんな機能が実装されたとしても、ガザ地区には私たちを救援しに来る者は1人もいない。

 イスラエルの攻撃が止むことは無かった。甥や姪(アヤの子どもたち)は、爆弾が落ちて家が揺れる前にアヤに知らせようとしていた。長い夜だった。