本日翻訳して紹介するのは、the New YorkerのWeb版に11月21日にJohn Cassidyが投稿のコラムで、タイトルは、”The Free-Market Fundamentalism of Argentina’s Javier Milei”(アルゼンチンのハビエル・ミレイの自由市場原理主義)です。
アルゼンチンの大統領選でハビエル・ミレイ氏が勝利しました。アルゼンチンは、過酷なインフレ(直近1年では200%弱)でした。それで、現フェルナンデス政権に対する不満票の受け皿として、独立系右派のミレイ氏に票が集まったようです。
さて、日本人としてアルゼンチという国名を聞くと、どうしても思い出してしまう言葉があります。それは、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者 サイモン・グズネッツ が残したもので「世界には4つの国しかない。先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである」というものです。これは、先進国は先進国であり続け、途上国は途上国であり続けるが、日本(途上国⇒先進国)とアルゼンチン(先進国⇒途上国)だけが例外であるということを言っています。まあ、途上国が先進国になるのは結構難しいわけで、途上国は一定規模にまで経済発展した後、成長が鈍化し、高所得国と呼ばれる水準には届かなくなる傾向があると言われています(いわゆる、中所得国の罠)。
日本は、途上国から先進国になるという非常に困難なことを成し遂げたわけで、これはまさしく快挙です。が、それと同等に困難なことをアルゼンチンも成し遂げたわけです。ただし、こちらは快挙とは呼べません。100年前のアルゼンチンは一人当たりGDPは上位10以内で、ヨーロッパの若者の移民先としてはカリフォルニアと並ぶ人気でした。首都ブエノスアイレスに地下鉄ができたのは1913年で、日本で一番最初の地下鉄(銀座線)の開通1927年よりも断然早かかったのです。
では、どうしてアルゼンチン経済は没落してしまったのか。まず、資源国の呪いがあります。アルゼンチンは国土が広く、大地は肥沃で、淡水も豊富で、金、銅等の鉱物もあります。原油・天然ガスも十分に採掘されていないものの産出しています。しかし、それが災いして工業化が遅れたしまったのかもしれません。ここは、日本とは違うところです。あと、GDPに占める公的企業の割合が高いとか、労働組合の力が強いとか、金融政策と為替政策の誤りがあったとかも原因と言われています。金融政策、為替政策は良かれと思ってやったことが結果的に上手くいかなかっただけで、責められるものではありませんが、他は日本も他山の石とすべきです。
また、アルゼンチンでは長期にわたって1党(正義党)が政権を担い、ポピュリズム政治を続けたことも問題と言われています。ここは日本も非常によく似ています。ともに抜本的な改革が何も為されず、景気を下支えするために紙幣をジャブジャブと刷り続けるという愚挙を繰り替えし実行しています。現在の日本の政治状況が続けば、日本もアルゼンチンのように凋落してしまうかもしれません(ただ、ではどこかに非常に優れた政治体制の国があるかと問われると、そんな国はどこにも無いような気がするのですが・・・)。私は日本がアルゼンチンのように凋落しないことを願うばかりですが、資産ポートフォリオを見直してリスクヘッジしておくべきだと思いました。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。
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