トランプは敗北を受け入れられない!トランプは国外逃亡しないのか?

A Reporter at Large  November 9, 2020 Issue

Why Trump Can’t Afford to Lose

   何故、トランプ大統領が敗北を受け入れないのか?

The President has survived one impeachment, twenty-six accusations of sexual misconduct, and an estimated four thousand lawsuits. That run of good luck may well end, perhaps brutally, if Joe Biden wins.

大統領は、1回の弾劾、26回の性的違法行為の告発、および推定4,000件の訴訟を生き延びてきた。もしもジョー・バイデンに負けたら、その時点で即座に運も尽きた状態に陥るであろう。
By Jane Mayer  November 1, 2020

大統領の特権 訴追免除

大統領は落胆していました。時間がなくなったことを認識して、側近の者にあらゆる政治的な選択肢のリストを作成するよう指示しました。彼は特に信仰心が強いわけではないが、急に人が少なくなり始めたホワイトハウスの外で日が陰り始めると、ひざまずいて大声で祈りを捧げました。拳をじゅうたんに打ちつけてすすり泣きしていました。「私が何をした?」とか「何が起きたんだ?」 と彼は言っていました。 大統領が、軍関係者に机の引き出しにピストルをいつでも使えるようにするため置いたままにするよう指示した時、主席大統領顧問は大統領の主治医に電話して、睡眠薬と精神安定剤を大統領に渡さないよう依頼しました。大統領が自死する手段が無い状態にしようと考えたからです。
 リチャード・ニクソンが失脚したのは1974年の夏のことでした。ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが著書「The Final Days(最後の日々)」で記しているように、アメリカの歴史の中で最も劇的な1日でした。1974年8月、ウォーターゲート事件で、ホワイトハウス内での謀議を録音したテープが存在したことで追い詰められ、ニクソンは弾劾され解任されそうになって辞任しました。その後、彼の政権と密接に関係していた29人が起訴されました。大統領補佐官と大統領顧問が数人ずつ刑務所に入れられました。司法長官ジョン・ミッチェルも含まれました。しかし、ニクソン自身は、1974年9月に副大統領から昇格して後任の大統領になったジェラルド・フォードが恩赦を与えたため、起訴は免れました。
 アメリカではこれまで大統領が刑事事件で起訴されたことはありません。ドナルド・トランプ大統領は、現在ホワイトハウスにしがみつきたい思いで必死の奮闘を続けています。しかし、彼と側近連中は、もしも選挙で負けた場合(現時点では誰も結果を正しく予測することは不可能な状況ですが)、大統領特権の訴追免除が無くなることは確実に知っているでしょう。トランプに関して12以上の捜査と民事訴訟が現在進行中です。ですので、トランプは現在大詰めを迎えている選挙の情勢を見ながら、ニクソンが最後にあがいていた時より状況が悪いのではないかと思っているかもしれません。歴史家マイケル・ベシュロスはトランプについて次のように述べています、「トランプが選挙で負けた場合には、辞任した時のニクソンと同じような状況に陥ると思われます。ニクソンのように色々と追及されることとなるでしょう。」と。トランプは、1回の弾劾、2回の離婚、6回の破産、26回の性的暴行での告訴、4,000件程と推測される民事訴訟を生き延びてきたことで有名です。彼ほど巧妙にそれらをかわすことがことが出来る人はいないでしょう。万が一、大統領選でバイデンに負けるようなことがあると、これまで続いていた幸運も終わるでしょう。たとえ大統領選に勝った場合でも、彼の2期目の4年間では重大な法的および経済的な脅威が去ることはないでしょう。