トランプは敗北を受け入れられない!トランプは国外逃亡しないのか?

結論 トランプが大統領選で敗れた場合に想定されること

トランプが負けた(そして刑務所にも行かない)場合に何をするかということは、彼の元側近たちの間でも推測するのは難しいようです。2016年大統領選の際、トランプが選出されないことがほぼ確実であると思われていた時、補佐官たちは、いわゆる「トランプ・ニュース・チャンネル」のようなものを作ろうと準備を始めました。それは、そこでトランプがわめき散らして収益化出来るようなメディアプラットフォームです。共和党関連団体で政治活動をしていた者の情報によると、その計画を進める計画に関与した一団の中には、スティーブ・バノンとシンクレアブロードキャストグループがいました。当時、バノンはトランプの選挙活動の戦略官をし、オルタナ右翼のWebサイト”Breitbart(ブライトバートニュースチャンネル)”も運営していました。シンクレアブロードキャストグループは、90弱のテレビ局を握る共和党寄りのメディア企業です。(シンクレアは、そうした計画への関与を否定しています。)伝えられるところによれば、トランプはヒラリー・クリントンを打ち負かす前に、義理の息子であるジャレッド・クシュナーにマスメディアを買収する機会を見出すよう調査を指示していたようです。その目論みがマスコミに漏れてしまった後、トランプはそれが出来ればとてつもなくファンが増えるだろうと言いましたが、「トランプTV」のようなものを作るつもりは毛頭無いと否定しました。しかし、バニティフェア誌が 先日報道したように、クシュナーは、16年の大統領選の予備選の期間に、”Weather Channel”に買収を持ちかけていました。買収した後でそれを親トランプのTV局に変換するつもりでした。しかし、同誌によると、クシュナーの提示額3億ドルは、そのチャンネルの主要株主である投資ファンドのブラックストーンの売値4億5000万ドルをはるかに下回っていまいた。クシュナーとブラックストーンのいずれもがそうした事実はないと否定しました。しかし、情報筋(交渉について個人的に相談された)からの聞いた情報では、その交渉は実際にあったようです。
 トランプ・オーガナイゼーションの元従業員であるバーバラ・レスは、多くの元トランプ側近と同様ですが、大統領は選挙で敗北した場合再び何らかのメディア企業を立ち上げようとするだろうと確信しています。ある民主党の工作員(共和党と深い関係のあるニューヨークの団体に属している)によると、バーナード・マーカス(ホームデポの共同創設者でトランプ支持者)に、トランプ寄りのメディアプラットフォームを作る2回目の計画を支援する人物として白羽の矢が立っているそうです。マーカスは、これまでのところ関与していないと言いつつ、明確には否定しいません。また、将来的には必要かもしれないし、それは素晴らしい考えであるとも付け加えました。現在、トランプが2つの全国規模の親トランプのメディア企業を合併させようと画策しているのではないかとの憶測が流れています。2つとは、シンクレアとワンアメリカニュースネットワークです。ワンアメリカは規模の小さいメディア企業ですが、”ピザゲート陰謀(ヒラリー・クリントン陣営が人身売買等に関与しているという陰謀論)”を拡散したジャック・ポソビエックのようなマイナーな人物を売り出すことで有名です。もし親トランプのメディアが誕生したら、現在のフォックスニュースよりさらに右寄りになるでしょう。最近、フォックスニュースはトランプから忠実でないとしばしば非難されています。例えば、4月26日にトランプがフォックスニュースに出た後に次のようなツイートを残しています。「@ FoxNews記録的視聴者数です。皆トランプ支持者ですね。しかし、こんな番組には皆怒り心頭でしょう。代わりになるメディアが要りますね。私が何とかしましょう。」
 ある者(元トランプ側近で現在は某メディアに在籍)は、トランプがラッシュ・リンボーが止めた後のラジオのトーク番組の司会をするかもしれないと推測しました、10月中旬にリンボーは末期肺癌を患っていると発表しました。リンボーは後任については何も言及していません。トランプがそのような番組を(おそらくフロリダ州ウェストパームビーチのゴルフクラブから)司会した場合、彼は自分への支持を集めて影響力を維持できる可能性があるかもしれません。また、トランプは朝ゴルフをした後で番組を放送することも可能かもしれません。また、トランプは、かつて出演していたTVショー「アプレンティス」でしていたように、あるいはホワイトハウスでしていたように、準備なしでアドリブでしゃべり、同じことを何度も繰り返ししゃべるでしょう。トランプは非常にリンボーを気づかっています。彼に大統領自由勲章を授与し、彼の健康について同情的なツイートをしました。リンボーはラジオでの人気から大金持ちになりました。5億ドルは稼いだと推定されています。トランプは、昨年12月のスピーチでリンボーについて次のようにコメントしていました、「リンボーほどトークの面白い人はいません。口だけで年間500万ドルも稼いでいます。でもそれは物事のほんの一部分でしかありません。重要なのは、誰でも右寄りのトーク番組の司会者になれたならば、良い生活が出来るということです。」と。
 しかし、レスは、トランプがラジオへの出演を続けるところは想像出来ません。おそらく、仕事が小さすぎると言って断るだろうと推測するからです。トニー・シュワルツは、トランプは怠惰な人間すぎて、毎日3時間のトークショーを行うこは出来ないだろうと推測します。それにもかかわらず、メディアがあれば、トランプにとっては沢山の利点があります。政界の陰の実力者とか黒幕になれる可能性もあります。フロリダのような重要なスイングステートでキャスティングボードを握ることが出来ます。(最近、バノンは、トランプが今回敗戦したら、2024年の選挙に再立候補する可能性があるかもしれないと推測していました。とは言っても、それはかなり可能性が低いことです。)
 1997年、トランプは3冊目の著作「The Art of the Comeback」を出版しました。この本では、破産した後でも復活した回復力を自慢していまた。しかし、最近放映されたテレビ討論会では、トランプはバイデンよりも大幅に低い評価しか得られませんでした。前回も負けていましたから、いつでも復活出来るわけではないということが示唆されました。本当は、選挙に勝つためには勝っておきたかったところです。ニューヨークのコラムニストのフランク・リッチ(以前は演劇評論家で、最近ではHBOの2つのヒット番組の制作に関わっていました)は、つい先日、””America Is Tired of the Trump Show (アメリカはトランプショーに飽きた)”というエッセイを出しました。
 ニューヨークの不動産業界でもトランプを元気づけるような噂は全く聞こえてきません。私は最近、トランプを何十年も知っているニューヨークのある銀行の頭取に話を聞きました。私は、トランプのビジネスの調子をどう思うか尋ねたところ、率直な答えを貰いました、「トランプは不動産事業をやっていました。しかし、それは過去形です。どの銀行も今後彼には関わりたくないでしょう。取引するのは、ドイツ銀行くらいですよ。」と。実際、ドイツ銀行はトランプが大統領になる20年も前から金を貸し続けていることで悪名を轟かせています。そのドイツ銀行でさえ取引の継続をためらっています。先ほどの頭取は言いました、「ドイツ銀行は世界中でアメリカ企業や個人の顧客を失う可能性があります。 今では、トランプの名前が出ると、非常に取引が不利になる状況になっています。トランプは、国内では選挙での敗北を認めなければなりませんが、世界中の色々な場所でビジネス上の敗北を認めねければならないでしょう。冗談ですが、トランプという看板を掲げて商売が成り立つのは、米国南部や西南部の諸州くらいしかないでしょう。」と。
 スカラムチは、トランプが選挙の敗北を認めることを余儀なくされた場合、フロリダに行って、そこで外国の寡頭政治家と取引をして軍資金を貯めようとするのではないかと推測します。つまり、トランプは寡頭政治家に一肌脱いであげるから、何十億ドルか払ってくれないかとお願いするわけです。それには前例があります。ニクソン政権時の副大統領で汚職疑惑により1973年に辞任を余儀なくされたスピロ・アグニューは、辞職後にサウジアラビア皇太子に反シオニスト運動を継続することの見返りとして資金提供を求めていました。また、ジェラルド・フォードを始めとして、大統領経験者で講演をして巨額を稼いでいる人も沢山います。中には外国から招かれて講演する人もいます。ロナルド・レーガンは退任後、日本を訪問して200万ドル稼ぎました。伝え聞くところでは、その内の半分は1回の講演で稼いだそうです。また、大統領の時の回想録は大統領経験者夫妻にとっての非常においしい収入源です。ビルとヒラリーのクリントン夫妻は、数冊の本で合わせて3,650万ドル以上の著作権料を前払いで貰っています。バラクとミシェルのオバマ夫妻は、彼らの共著の全世界での版権から6,500万ドル以上を稼いだと言われています。トランプは自身が本を読まないことを認めています。「The Art of the Deal(邦題:不動産王にビジネスを学ぶ)」をゴーストライターとして書き上げる際にトランプと1年半作業を共にした経験のあるシュワルツによると、トランプは執務室にも家にも1冊も本を置いていなかったそうです。にもかかわらず、トランプはこれまでに12冊以上の本に著者として名前を載せています。トランプは非常に実績のあるマーケティングのプロであることを考慮すると、彼が今後もこれまで以上に本を売ってやろうと考えるのは自然なことでしょう。
 アマースト大学法学部教授であり、トランプ大統領に関する近著”Will He Go”を上程したローレンス・ダグラスは、トランプ大統領は選挙で勝っても負けても、国内の混乱と分断の原因となり続けるであろうと予想しています。ダグラスは、政権移行時の法執行についても造詣が深いのですが、次期政権が前大統領を起訴するということは非常に不快なものであると私に言いました。ダグラスは続けて言いました、「それは出来損ないの独裁政権のやることのように思えます。前大統領を起訴するようなことをすれば、大暴動が起こりかねません。なぜなら、何千万人ものアメリカ人にとって、トランプは英雄であり続けると思われるからです。」と。他の多くの大統領は退任後徐々に存在が忘れ去られていきました。しかし、トランプの存在感が薄くなっていくとは考えられません。トランプは、ナルシストですのでスポットライトに照らされることが大好きです。また、スポットライトを浴びて演説し扇動するのが得意でした。かつて、ジョージ・W.ブッシュは政権移行を平和裏に進めました。しかし、トランプが負けたとしても素直にホワイトハウスを明け渡すことはないでしょう。

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