Question 8
Question8
イスラエルやアメリカに住んでいる人で、イスラエルの攻撃的な外交政策を支持している人は、サウジアラビアとイランが合意したことを知って腹を立てているようです。誰でも分かると思いますが、その理由は、イスラエルの最大の脅威はイランであり、合意によってイランを封じ込めることが困難になってしまうからです。しかし、長期的には、イスラエルはスンニ派とシーア派が争わなくなることを望んでいて、また、結果としてこの地域に幅広い調和がもたらされるような情勢になることを望んでいるのでしょうか?
Answer
イスラエルの安全保障上の懸念は理解できます。イランの現政権は、集会などを主催し、そこで「イスラエルに死を」(death to Israel)という標語を掲げて、それを高らかに叫んでいます。ですので、イスラエルがイランが核開発を着々と進めているのを見て、脅威を感じるのは当然のことです。とはいえ、イスラエルがイランの脅威が高まっていると世界中に訴えている根底には、イスラエルにとって切実な問題であるパレスチナ問題への注目をそらしたいという魂胆もあるのです。そのことは、特にイスラエルが現政権になってからは明白になっています。イスラエルは、ガザ地区を手放すつもりは毛頭ないでしょう。しかし、イスラエルに統治されるのを望まないそこに住む住民をどう扱おうとしているのでしょうか?
イスラエルでは、外交政策上の観点から中東の大国であるサウジアラビアとどのような関係を築くかということが、常に議論の的となってきました。UAE、スーダン、モロッコとは、既に良好な関係を構築できています。また、エジプトやヨルダンも既にイスラエルと平和条約を締結済みで大使館も設置済みで、脅威となることはありません。イスラエルは、中東では弱小国を除けばサウジアラビアとだけ友好的な関係を構築できていないのです。おそらく、イスラエルの現政権はサウジアラビアと平和条約を締結したいと考えているでしょう。もしそれができれば、それはアラブ諸国がイスラエルのガザ地区の支配を認めたことを示すこととなるわけですし、反イランで連携して行動できる可能性も高まります。ここで、私が強調したいのは、中国の仲介によってサウジアラビアはイランと国交回復したわけですが、そのことがサウジアラビアがイスラエルと協調してイランに対抗することを妨げるものではないということです。くどいようですが、中東地域では依然としてイランが核開発プログラムを推し進めていることが最大のリスクなのです。イスラエルは非常にイランに脅威を感じています。イスラエルほどではないかもしれませんが、サウジアラビアもイランに脅威を感じていないはずはないのです。