サウジアラビアがイランとの外交関係の正常化に合意!何と仲介したのは中国!これはアメリカ外交の大失態なの?

Question 10

Question10
 バイデン政権は、今回の件をどう捉えているのでしょうか?

Answer
 国務省(State Department)は非常に明確でした。この地域の緊張を緩和するものであり、歓迎すると表明していました。この地域の情勢が落ち着くのであれば、どんなことでも構わないというのが、この件に関するバイデン政権の方針のようです。今後、バイデン政権はサウジアラビアと話し合いをすることとなるでしょう。それでいろいろと問うて確認していくこととなるでしょう。イランとどのように向き合うつもりなのかを問うことになるでしょうし、また、アメリカがイランの核開発プログラムに関して様々な決断をする際に、どのような立場を取るつもりなのかも問うでしょう。以前は常にアメリカにイランに対して厳しい態度を取るよう促して、アメリカがイランとの核開発プログラムに関して取引をすることにも反対していましたが、今後はどうするつもりなのかということも問うでしょう。

 しかし、アメリカの上下院には、今回中国が中東の2大国の仲介をしたことをアメリカの外交政策の大失態であると捉える者も少なくないようです。民主党議員も共和党議員もそうです。彼らは、アメリカと中国との関係は、ゼロサム的なものだと捉えているようです。ですので、今回の勝者は中国で、他方が敗者であると短絡的に考えているのでしょう。そうした考え方をすることは、現状を正しく認識できていないと言わざるを得ません。超大国のアメリカがもう一方の超大国の中国と対峙していますが、両国は経済面で広範に深く繋がっています。大昔に当時の超大国のソ連(Soviet Union)と対峙していた時とは状況が全く異なっているのです。これは、アメリカが一度も経験したことのない領域なのです。ですから、上下院の議員の多くが中国との関係を考える際に冷戦時代の古い思考回路で頭を働かせているようにしか見えないことは、非常に残念なことです。全く非生産的なことです。実利主義的に考えることが必要で、アメリカと中国に共通の利益がある分野が見つかるなら、お互いに協力すれば良いのです。情勢が変わったなら、思考も変えるべきなのです。♦

以上