What the Saudi-Iran Deal Means for the Middle East
サウジとイランの合意が中東にとって何を意味するか
Brokered by China, the agreement between the two regional rivals reflects shifting economic—and ideological—alignments.
中国が仲介したこの地域のライバル 2 か国間の合意は、経済的、そしてイデオロギー的な調整の変化を反映しています。
By Isaac Chotiner March 14, 2023
先週、2016年から7年間断交が続いていたサウジアラビア(Saudi Arabia)とイラン(Iran)は、外交関係の正常化に合意したと発表しました。両国は2カ月以内に大使館を再開する方針です。また、安全保障や貿易などの分野で協力を開始することにも合意しました。様々な対立が複雑に絡み合い、混迷が深まっていた中東(Middle East)において、サウジアラビアとイランの間の対立は解消する糸口が見つからない状況が続いていました。混迷の根底にあった対立軸の1つが、イスラム教スンニ派(Sunni)とシーア(Shiite)派の歴史的なライバル関係でした。それは、中東の政治や紛争に大きな影響を与えてきました。イエメン(Yemen)、レバノン(Lebanon)などでは、両派の代理戦争が行われてきました。サウジアラビアは、イエメンの内戦に政権側を支援すべく介入していました。政権側がイランの支援するイスラム教シーア派系のフーシー(Houthis)派の民兵組織による攻撃で苦境を強いられていたからです。また、サウジアラビア政府は、2017年にレバノンのハリリ首相に圧力をかけて辞任させましたが、これにはヒズボラ(Hezbollah)のレバノン国内での活動を封じ込める目的があったと考えられます(ヒズボラはイラン政府から手厚い支援を受けていました)。今回の合意は、それ自体が非常に重要なのですが、中国が仲介したということも同様に重要です。中国は、中東地域での影響力の拡大を目指していると思われます。
今回の合意が何を意味するのかを議論するために、私は中東の専門家で、テキサスA&M大学ブッシュ政治・公共サービス大学院(Texas A&M University’s Bush School of Government and Public Service)の教授のグレゴリー・ゴーズ(Gregory Gause)と電話で話をしました。なお、インタビューの内容は誌面が限られているため、また曖昧さを排除するために一部編集しています。サウジアラビアの指導者ムハンマド・ビン・サルマーン(Mohammed bin Salman)皇太子が、ここ数年の欧米諸国との関係がギクシャクする中で自国の外交政策をどのように見直そうとしているのか、イランとイスラエルの対立は深まっているのか、アメリカは中国が中東への影響力を増すことをもっと警戒すべきではないか、ということなどについて話を聞きました。